本・読書 一覧

角田光代 『対岸の彼女』

初めて角田光代さんの小説を読みました。前々から気にはなっていたのですが,まずは直木賞受賞作の『対岸の彼女』から。

物語は,現在(小夜子と葵),過去(葵とナナコ)の二つが一章ごとに書かれていきます。
子どもが3歳になって,近所の公園に「公園デビュー」したけれど,なかなか周りのお母さん達にとけ込めず,「公園ジプシー」(そんな言葉があるんだ!)となっていた主人公の小夜子。その小夜子が,停滞した生活サイクルから抜け出すため,明るい女性起業家,葵が経営する会社で働き始める「現在」から物語は始まります。

しかし,自由奔放に見える葵も,「過去」には小夜子同様,中学時代にはいじめに遭い田舎の女子校に転校していたのです。田舎の女子校は,典型的な女の子どうしの付き合いばかり。つまり,本当に仲がよいわけではなく,友達の輪に入ること,そのグループに入っていることが大事な友達関係。

しかし,そんな女子校であっても,どこのグループにも入らず自由に生きるナナコという女の子がいた。仮に,他の連中に無視されても,いじめを受けてスカートを着られたとしても,「そんなのはちっとも怖くない。私の本当に大事なものは,そんなところにはない」,と言い切るナナコ。そんなナナコに惹かれていく葵。

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Dorothy Law Nolte, 『子どもが育つ魔法の言葉』

「魔法の言葉」と言っても,「http://www.tv-asahi.co.jp/magi/contents/info/index.htmlマージマジマジーロ!」とかではありません。

以前,皇太子様もこの本の冒頭に書かれた詩を紹介されていた,由緒正しい(?),魔法の子育て本です。

朝夕の通勤電車1週間で読み終わりましたが,「う~ん…」と考えさせられたり,「なるほど!」と手を打ってみたり,いつものように怪しいサラリーマンとなってしまいました。とても参考になる子育ての,いや,大人対大人の接し方にも応用できる,すばらしい金言に満ちた育児書でした。

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梨木香歩 『西の魔女が死んだ』

先週は,いろいろ読みました。梨木香歩の『西の魔女が死んだ』,横山秀夫『陰の季節』『動機』,エラワン・ウイパー『ジャンボ旅客機99の謎』,レイチェルカーソン『ザ・センス・オブ・ワンダー』,江國香織『泣く大人』。完璧なまでに脈絡のない選書ですが,今日は『西の魔女が死んだ』について。

この本は,近所の小さな本屋さんで平積みになっていて,帯の「読者アンケートNo.1!」につられて思わず買ってしまいました(単純である…)。

この小説で,おいらが気に入ったところは二つ。まずは,自然の美しさと,それに包まれて生きる素朴な暮らしへの憧憬。それと,,,

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Rachel Carson “The Sense of Wonder”

こちらは日本語版  

梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を読みました(こちらもとても良かったので後日,感想を書こう)。自然と一緒に生きたおばあちゃん(魔女)と中学生の”まい”の物語を読んでいるうちに,レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』を思い出し,久しぶりに読み返しました。
そして,あらためてカーソンの先見性,感性の鋭さに驚かされました。

実は,日本語版と英語版は異なる写真家が撮影していることを知りました。そして,明らかに英語版の写真の方が(少なくとも僕には)良さそうです。日曜日には,さっそくランドマークの有隣堂で英語版も読んでみようと思ってます。(右の写真は,左が日本語版,右が英語版です)

いずれにせよ,とてもとてもきれいな自然の写真がたくさん載っている,宝物のような本です。でも,そんな見た目の美しさはおまけ。カーソンは,本物の自然と向かいあい,その不思議さを感じ取る大切さを述べています。

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『覆面作家は二人いる』(北村薫)読み終わり

先週は,涙あり,感動ありの浅田次郎ものを読んで少々疲れたので,今週はお気軽な小説を読んでいます。

まずは,北村薫の『覆面作家は二人いる』から。

北村薫は,おいらが好きな作家ではベスト5に入ります(いや3かも)。「時と人3部作」の『スキップ』,『ターン』(『リセット』はまだ読んでないのだ・・・)や,『空飛ぶ馬』に始まる「円紫さんと私」シリーズは特に好きで,書棚に眠りながらも,年に何回かは引っ張り出して読んでいます。

どの小説も,とても丁寧な文章で,暖かい言葉使い。身の回りにおこるちょっとしたこと(でないこともあるけど)を題材に,上質なミステリに仕立てあります。

でも,トリックや犯人探しはちっともメインではなく,登場人物の心情をとっっても丁寧に書くことで,人間の悲しさや,逆に暖かさを描きます。

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記事下用336×280
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