超コンパクト&高速化達成!(^^)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
前回、ちらりと登場したヒルクライム用新兵器。
上りではまったく活躍してませんでしたが、実は下り専用、カーボンリムの温度測定装置です。
以前、4月に紹介した試作品の改良版の改良版です(^^;
試作段階の課題
今年の4月、赤外線アレイセンサ(サーモセンサー、MLX90640)を入手たので熱画像(サーモグラフィー)を表示させて遊んでみました。
ただ、とりあえず、思付きでやってみただけなので、課題は山積みでした。
トップチューブボックス内にマイコン、下にはモバイルバッテリー(10000mAh)。大がかりすぎ。
SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
- 画面表示が無いので、どこを撮影しているか分からない
- 別途電源が必要(モバイルバッテリー)
- 大きなマイコンを収納するため、トップチューブバッグが必要
- サーモグラフィーの温度レンジが狭すぎて、全部真っ赤になってしまう
- 15秒に1枚しか撮影できないので、カクカクすぎる
- マイコン~カメラ間の配線が太くて邪魔(LANケーブル)
初回だからしょうがないのですが、いかんせん、課題が多すぎです。
なんとかせねば・・・。
マイコンが大きすぎたんです。載せにくいし、消費電力が大きすぎる。
SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
改良版1登場!
まず、マイコンを大型のRaspberry Pi4から、Raspberry Pi Zeroに変更です。
処理能力は1/10くらいしかありませんが、小型&小電力を見込まれての採用です(安いし・・・笑)
そのほか、液晶画面を付けたり、バッテリーを内蔵したり、さまざまな改良をしてみました。
- 液晶画面を搭載!
- 1.3インチの超小型カラー液晶画面を搭載です。熱画像の確認や動作モードの確認などが現地でできるようになりました。
- バッテリーを内蔵!
- マイコンを小型化したので、小さなバッテリーでも駆動できるようになります。手元にあった850mAhの小型LiPo電池を内蔵してみました。もちろん、充電&放電回路も。
- ロボットケーブル配線に変更!
- 試作品は固いLANケーブルでしたが、細くてしなやかな「ロボットケーブル」に変更です。
- プレビューモードと撮影モードに分けました
- 以前は電源を入れた途端に録画始めましたが、プレビューモードを付けました。液晶画面で撮影画像を見てカメラの角度などを調整し、準備ができたら、スイッチを「記録モード」に切り替えれば、録画が始まるようになりました。
上から順に、小型液晶、マイコン、LiPo電池。だいぶコンパクトになりました。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
Raspberry Pi Zeroは同Pi4の1/10くらいの処理能力しかありませんが、「記録モード」中は最高温度の数値だけ画面表示して、サーモ画像はSDカードに直接記録するように変更することで、なんとか、同程度の記録スピードを確保しました(といっても15秒に1枚ですが・・・)
センサーケーブルは極細の「ロボットケーブル」。記録中の表示を最小限にして、速度アップ。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
それでも、やっぱりトップチューブバッグが必要でした。
SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
しかし、まだ、以下のような課題が残っていました。
- やはり、記録速度が遅すぎる(15秒に1枚では・・・)
- 小さくなっても、自転車に載せるにはトップチューブボックスなどが必要
ココをなんとかせねば、商品化(?)はまだまだです・・。
本命? 改良版2登場!
改良版1に対して全国のユーザー(1人だけど)から寄せられたご意見を参考に、さらに改善してみました
- 【その1】ステムに載せられるよう、マウントを作成
- いつもの3Dプリンタで、ちょっとしたマウントを作ってみました。マイコン基板のネジ位置に合わせてあるので、いろんな自転車用工作の実験に使えそうです。
- 【その2】サーモ画像データの保存高速化
- サーモ画像は、以前は1コマずつPNG画像ファイルの形でSDカードに保存していましたが、改善後は、生のセンサーデータを内部メモリに蓄え続け、記録終了時にそのままのデータを保存するように変更しました。
お手製マウント設計中。
立体化完了。緑の基板は、マイコン専用基板。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
カメラマウントも刷新。バイクハンドルに取り付けやすくなりました。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
サーモ画像は、センサーから読み込んだデータに補間処理をかけ、ヒートマップを生成して、そのスクリーンショットをPNGで記録する必要があり、かなり時間を要していました。
そこで、生データだけをSDカードに無加工で保存し、家に帰ってから、上記の時間がかかる処理をオフラインで実施する方式に変更です。
これにより、以前は1コマ15秒もかかっていた処理が、0.7秒ほどでできるようになりました。
(後に動画を生成するときにわかりやすくするため、1コマ=1秒で記録するようにしています)
録画時の画面はこれだけ。熱画像は家に帰ってから作ります。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
スイッチをプレビューモードにすれば、走行時にも熱画像を見れます。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
元のセンサーは横32×縦24=768画素しかなく、これを縦横とも10倍に拡大して補間処理をかけて320×240の画像に仕上げてます(PNGだと30KBくらい)
一方、元データは768画素×8バイト≒6KB程度のデータ量です(Double浮動小数点なので8バイト)
仮に30分録画すると、30分×60秒×6KB≒10MBくらいになります
Raspberry Pi Zeroは非力なマイコンですが、それでもRAMは512MBありますので、SDに随時吐き出さなくてもRAMに保存し続け、最後に一括でSDに書き出すようにしています。
室内実験では、2時間(=40MB)まで放置してみましたが、ちゃんと動いでいました(^^)
後処理で7200枚もPNGを吐き出されたのには困りましたが・・・。
まとめ
試作品→改良版1→改良版2と、改善を重ねるにつれて実用的な(?)オモチャとして使えるようになってきました。
元祖試作品と改良版2のスペックを比較すると、以下のようになります。
項目 | 初代試作品 | 改良2号 | 備考 |
---|---|---|---|
マイコン | Raspberry Pi 4 | Raspberry Pi Zero | 処理能力は低いけど、小型&省電力 |
電源 | 大型モバイルバッテリー | 内蔵LiPo電池 | 4時間くらい駆動できる |
画面表示 | なし | 1.3インチ液晶 | サイコンのように表示できる |
センサーケーブル | LANケーブル | ロボットケーブル | 取り回しが劇的に楽になった |
操作SW | なし | 電源・記録・リセット | プレビューで確認してから記録ができる |
記録 | 静止画 | 撮像生データ | |
記録間隔 | 10秒 | 1秒 | 画像を作らず保存するので早い |
車載方法 | なし。バッグなどに入れる | マウントで固定 | 専用マウント登場 |
試作品の時は目立つ配線や、大型のモバイルバッテリーなどが必要だったので、ご近所のちょっとした坂でしか試せませんでした。
改良版2は、自転車に取り付けても目立たなくなりました(チト怪しいけど・・・)ので、いよいよ、ダウンヒルの本場・ヤビツで試せそうです。
で、実際にヤビツで試してみた様子は、また次回に!
つづく。
まぁ、十分怪しいですけどね(^^; このあと、約1cmほど背を低く改造しましたが・・・
SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
何やら楽しそうな工作ですね!
1秒に1回だと、保存容量は平気かな?と気になってしまいました。
次回記事期待してます!
ちなみに、3Dプリンタはどのようなものを使ってるのでしょうか?
マウントみたいな小物まで作れるとなると俄然興味が…