Daniel M. Davis 『美しき免疫の力』(原題:The Beautiful Cure)

久しぶりに読書紹介。

昔から、進化論や生命科学、ウイルスの話が好きでそのテの本をよく読むのですが、今読んでいる『美しき免疫の力(The Beautiful Cure)』は久しぶりの大ヒット。

ドーキンスの『利己的な遺伝子(The Selfish Gene)』以来の衝撃的な面白さです。

題名の通り、ヒトの免疫機能の素晴らしさについての本ですが、その複雑な謎を解き明かしてきた経過をたどる、「科学ミステリー」的な本です。



美し免疫の力

突然ですが、免疫って興味あります?

「免疫力を高めるサプリ」とか「1日5分のエクササイズで免疫力アップ!」など、よく見かけるかと思います(正しくは免疫能だと思いますが・・)

でも、そもそも、免疫って何でしょう?

さらに、そのよくわからないものを「高める」とは?

今では当たり前のように使われる免疫、という言葉ですが、その働きが分かってきたのは、本当にごく最近のことです。

2000年代になってから急速にいろいろ分かってきましたが、それでもまだまだ全体像をつかむには程遠いとのこと。

まして、私たちが子供の頃には、「なぜこれが効くのか分からないけど、効くのだからいいだろう」という薬や治療法が沢山あったようです。

例えば、最近なにかと話題のワクチン。

ワクチン単体ではほとんど効き目が出ませんが、ワクチンにアルミニウム塩水酸化アルミニウム(アジュバント)を混ぜると、理由は分からないけど劇的に効果が高まるので、大昔から使われてきました。

アルミフレームのRHC号。これを削って混ぜても…ダメだろうな。

アルミフレームのRHC号。これを削って混ぜても…ダメだろうな。

SONY α7II + FE 28-70mm F3.5-5.6

自己と非自己を分けて攻撃してくれるのが免疫機能ですが、非自己なことだけでは攻撃相手として証拠不十分(?)です。

非自己(=自分の体に存在したことが無い)に加え、病原体由来であることで証拠が固まり、めでたく攻撃対象認定されるのではないかと推理され、この謎を解明した(未解明な部分も多いようです)きっかけは、ハエの遺伝子TLR(Toll-like Receptor)。

TLRが、ヒトの免疫で重要なIL1(インターロイキン1)遺伝子と似ているところから、謎ときが始まります。

こういった、一つ一つの謎を、ひとりの科学者が疑問に思って調べ始めて、10年たってきっかけがわかり、次の科学者が引継ぎ・・・と、徐々に謎が解明されていく過程を丁寧に、かつ、ドラマチックに書かれています。

また、現象の説明文も面白く、例えば、樹状細胞の働きを解説しているところでは、こんな感じです。

未熟樹状細胞は、ほぼすべての器官・組織をパトロールしているが、なかでも皮膚、胃、肺のように外部環境に曝されている場所を重点的に巡回し、生まれ持った多数のパターン認識受容体を駆使して病原体の検出に専念している。

そして、病原体に遭遇すると、ただちに飲み込み、破壊したうえで、スイッチを切り替えて成熟状態になる。成熟状態になったあとは、急いで最寄りのリンパ節または脾臓に駆け込む。そこは他の免疫細胞が集まる待機所になっている。

成熟樹状細胞は、食べたばかりの病原体の破片を他の免疫細胞に提示する。すると、その問題に対処するのに適した種類の免疫細胞がリンパ節を飛び出し、現場に急行する。

美しき免疫の力、Daniel M. Davis、p.73-74

なんだか、新選組のような感じに思えてしまい、とても面白く読めます。

免疫システムの全体像はまったく見えてないとのことですが、それでも、自分が社会人になったころに比べたら劇的に解明が進み、多くの難病や慢性病の患者さんを救ってきたのは事実でしょう。

これらが、一人一人の科学者の才能、閃き、粘り強さ、といったものだけを頼りに前進してきたと思うと、本当に敬服するしかないと思いますし、人類進化のすばらしさを感じます。

なんで、こういう、無茶苦茶に面白い、サイエンスの本はいつも洋物なんだろう・・・(少し残念)

・・・と思っていたら、最後の最後の方には、我らが本庶佑さんも登場します(^^)

【追記】ストレスと免疫能の関係

ストレスは現代人に特有なもの、というイメージありませんか?

Googleで「ストレス 現代人」と検索したら1億1000万件も出てきます(驚)

本書の後半、免疫能とストレスの関係を扱った章では、1万年前の人は、もっと大きなストレスを抱えていたとのこと。

「夜寝ている間にクマに食われたらどうしよう」

確かに、そういう心配はしなくて済むだけ、現代人は幸せではあります・・・(^^;

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装丁も美しいです

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