カーボンリム温度測定実験!

しぇ~、90.3℃!! 溶ける~。でも溶けない。

しぇ~、90.3℃!! 溶ける~。でも溶けない(^^)

前回紹介した、ダウンヒル用の秘密兵器(?)、自作サーモカメラによるカーボンホイールの温度測定の結果紹介です。

(ディスクじゃない)カーボンホイールは、「ダラダラ長くかけるのではなく、短く強くかける!」というのが鉄則ですが、それを裏付けるような面白いデータを撮ることができました。

ただ、自分が想像していたのとは全く違う結果だったので、チトおどろきです。

やってみるもんですねぇ(^^)



温度測定実験の条件

サーモデータ記録中。画面、90度ずれてたナ(^^;

サーモデータ記録中。画面、90度ずれてたナ(^^;

SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9

場所はもちろん、ヤビツのダウンヒルです。

約12kmの距離をだいたい30分くらいで下ってきます(平均24km/h。遅・・・)

撮影用のサーモセンサ(MLX90640)は左の下ハンドルに付けているので、ホイールの左側を少し上から目線で撮影することになります。

だいたい、こんな角度で撮影しています。

だいたい、こんな角度で撮影しています。

SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9

この角度ですので、ホイール以外に路面も映り込んでしまいますが、この日のヤビツ頂上付近の気温は26℃だったので、ホイールの方が温度は高そうです。

また、走行中(記録中)は画面には最高温度しか出ない(しかもプログラム間違えて横向き・・・)なので、特に気にすることなく、普段の走りで下っています(ヤラセなし。笑)

以降のサーモ画像やグラフは、SDカードに記録されたセンサーの生データを元に、家に帰ってからオフラインで生成したものです。

1500個の画像データ(^^; これから連結して動画にしてみると・・・?

1500個の画像データ(^^; これから連結して動画にしてみると・・・?

動画で見てみると?

1秒1コマで撮影しているので、30分で1800枚のPNG画像が生成されますが、センサーケーブルを長く取り回し過ぎたせいか通信エラーが多くて、実際には1500枚ほどのサーモ画像が得られました

これら大量の画像を連結して、1つの動画にしてみました。

動画は実時間の10倍速です。

ブレーキをかけるたびにリムが熱くなっていることが分かります。

また、動画の右側にはブレーキシューが居ますが、予想に反してあまり熱くなっていないことも分かります。

ブレーキシューの外側からの撮影なので見えているのは、正確にはシューホルダになります。

リムと接触するゴムは熱くなっても、外側のシューホルダまでは伝わってないのかもですね。

温度変化の様子をもう少し詳しく

毎秒の最高温度も記録していますので、それをプロットしたのがこちらのグラフ。

最高温度の時間変化。わずか数秒で激しく上下しています。

最高温度の時間変化。わずか数秒で激しく上下しています。

ブレーキをかけると急激に温度が上昇しているのが分かります。

また、ブレーキを解除すると同じように急激に冷えているのも分かります。

基本的に、下りでは(上りも・・・)飛ばさないので、ほとんど強いブレーキはかけない走りをしています(シューも5年に1回くらいしか交換してないし)

ただ、1カ所、道が狭くなっているところで対向車が来てしまったため、強めのブレーキをかけています。(といっても、もともと20km/hだったのを5km/hくらいに下げたレベルですが)

この時(6分46秒付近)、吹き出しても描いていますが、わずか2秒で30℃→90℃まで急上昇しています。

この日の最高温度の様子。わずか2秒で90℃に!!

この日の最高温度の様子。わずか2秒で90℃に!! 7分20秒あたりは緩いブレーキ。

これだけでビックリですが、その後、ブレーキを解除したらわずか2秒ほどで50度くらいまで冷やされて、2℃、いや2度ビックりです。

この時の様子を、1倍速の動画で見てみると・・・

やはり、一瞬で90℃まで上昇して真っ赤になり、すぐに冷えていることが分かります。

さらに、この時の実際の温度分布を、Excelさんのヒートマップで表示してみると、こんな風になります。
(セルの並びは、手違いで左右逆向きになってしまい、ゴメンナサイ。直すの面倒・・・)

Excelでセンサーデータをもとにヒートマップを描いてみる。

Excelでセンサーデータをもとにヒートマップを描いてみる(左右逆向きでゴメンナサイ)。

シューの直後のリムは90℃まで到達していますが、その先の方では、早くも冷却されて60℃くらいになっているのが分かります。

もちろん、1周したあと(シューの手前、図の左)ではさらに冷えて、40℃程度しかないのが見えます。

この時の走行速度は5km/hくらいなので、ホイールの回転はすごく遅いとは思いますが、それでも冷却の速さにオドロキです。

今回の実験成果

今回の温度測定実験では、以下のことがわかりました。

  • ブレーキをかけると瞬時にリムは高温になる
  • ブレーキを解除すると数秒で常温に戻る

なんか、事前に予想していたのと全然違いました。もっとゆっくりした温度変化(上昇も下降も)と思っていたので・・・。

まだ、1回しか実験していないのでハッキリは分からないですが、なんとなく、以下のようなことが推測できます。

  • カーボンリムはトンデモなく熱伝導が悪い
  • なので、ブレーキをかけると表面「だけ」が熱くなる
  • 表面だけなので熱容量はすごく小さく、瞬時に高温になる
  • 同じ理由で、ブレーキ解除するとすぐに放熱される

もしかすると、こういう挙動になるように、メーカーが苦労してリムのブレーキ接触面を工夫しているのカモしれませんね。

メーカーさんが推奨する、「長く緩いブレーキはやめてね。かけるなら急ブレーキで」という注意書きは納得です。

緩くても長くかけ続けていると、リム本体(表面だけでなく)・タイヤも含めてみんな熱くなってしまうのかもしれません。

自分の場合、たいてい前後交互にかけているのですが、ここ以外で60℃を越えることはありませんでした。

まとめと今後

こういった話は、たまに雑誌などで見ていましたが、実際に自分で測ってみるとなかなか面白いものでした。

ただ、まだ1回しか測っていないのでなんとも判断しかねるところもあります。

なので、次回はアルミホイール(SHAMAL)でも同じ測定をしてみようかなと思います。

アルミはカーボンよりは熱伝導が良いので、もう少し緩い温度変化(上昇も下降も)になるのでは?と期待しています。

下界まで下りてくると、ホイールやフォークより、路面の方が熱い。

下界まで下りてくると、ホイールやフォークより、路面の方が熱い。

SONY DSC-RX100m3 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9

まぁ、世の中はディスクホイールが主流になるようなので、こういう話も昔話になるんでしょうかねぇ・・・(寂

ちなみに、ミニベロのディスクブレーキも測っています(^^)

こちらは予想通り、長くかけてると平気で100℃を超えるし、なかなか冷えませんでしたが、制動力も含めて何も問題なし。

やっぱり、ディスクいいなぁ・・・(ぼそ)

ディスク(ミニベロ)の様子。この後、常温に戻るのにだいぶ時間かかってました。

ディスク(ミニベロ)の様子。この後、常温に戻るのにだいぶ時間かかってました。

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コメント

  1. 名前:オサウム 投稿日:2021/09/17(金) 23:10:55 ID:da5d62a64 返信

     いつも(毎日ではなく 時々 纏め読みなんですが)楽しく拝見して
    ます でも あまりコメントしなくて 申し訳ありません
     今回のテーマは凄く面白かったです ロードバイクでは見た事が無い
    です
     自分は モータースポーツも好きで F1やWECそれにWRCを主に見て
    ますが あちらは エネルギー量が大きいので 視覚的に凄いですよね
     重量や速度はロードバイクの25倍および5倍以上かと思われるので
    エネでは625倍以上かと
     なので ディスクが 夜間では赤熱してるのが 昼間でも日陰だと見える
    事が有ります
     Shiroさんは 単に映像を捉えたのでは無く 温度をデジタルに計測して
    るので 学術的だと思います
     学会誌か業界専門誌に形式と体裁を整えて投稿すれば 論文として認め
    て貰えるのではないでしょうか
     この記事を見て 機械工学の院生か学生が投稿するかも知れないので
    ラフで構わないので投稿され 優先権を確立された方がイイと思います
     上手く行けば 博士号に寄与するかもです (^^)/

    • 名前:Shiro 投稿日:2021/09/17(金) 23:32:52 ID:7ae663b4f 返信

      コメントありがとうございます~

      そう、意外と、サーモ画像って見ないんですよね!?

      なんとなくですが、ふつうのサーモカメラは「その場で見るもの」であって、録画機能が無いんじゃないかと。
      自分のは真逆で、家に帰ってからしか見られないんですが(^^;

      とはいえ、そこらに転がっている部品をくっつけた、「ありものカメラ」なので、さすがに学術的とまでは・・・(^^;
      もうすこし、真面目にいろんなパターンで測ってみようかな~とは思っております。

      過去にはいろんなネタで、書いてから数か月後に、某自転車雑誌に載ったこともあったので、そのうちあるかも!?

      実は、学生の頃は、日常的にこういうくだらない電気工作をやっては、人を驚かせていました。

      コンセントの波形を、当時流行し始めたニューラルネットワークで解析・分類し、誰かが電化製品を使うたびに、「今、掃除機付けましたか?」とか喋るスピーカーは、あまりのくだらなさに、バカ受けしました(笑

      もう少し、商売に結び付ける力があれば、ひと山当てられたか・・・ナ!?(^^)

  2. 名前:_toshi 投稿日:2021/09/17(金) 09:49:48 ID:dfa5bbd4d 返信

    Shiroさん:

    アルミしか持っていないので、アルミの結果を楽しみにしております。

    • 名前:Shiro 投稿日:2021/09/17(金) 23:23:49 ID:7ae663b4f 返信

      アルミバージョン、了解です!(^^)

      コンパクト化したとはいえ、ステム上に目立つ「怪しい物体」なので、もう少し目立たないよう改良中です。
      今週末は雨みたいなので、来週ですかねぇ・・・。

      そもそも、ヤビツを上り切れない体力が問題ですが(><)

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