LGS S9号のDCL化作業(油関係作業編)

レバー類を取り換えるところから作業は始まります。この後、すぐに油関係作業が・・・!

レバー類を取り換えるところから作業は始まります。この後、すぐに油関係作業が・・・!

SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G

前回記事では、デュアルコントロールレバー(DCL)化作業に必要な資材を無事に(?)収集するところまで紹介しました。

いよいよ、今回はDCL化作業最大の山場、オイル関係作業です。

いやぁ、知らないことを始めてやるって、大変だけど面白いですねえ・・・(^^)



知らないことだらけだ!

やりたいことは単純(ブレーキレバーを新調して、ホースを短くして接続)なのですが、油圧ブレーキシステムのおかげで、結構大変な作業で、知らない&新しいことばかりです。

コネクタインサート装着、オリーブ、注油、エア抜き、なんにも分かりません。

そんなド素人さんは、ついついメンテナンス本に手を出してしまいそうですが(1冊買ってしまいました・・・)、実は、シマノがウェブで公開しているディーラー向けマニュアルの「基本作業書」を読めば、必要な作業手順はすべて、丁寧に書いてあります。

こんな調子で、必要な工具やコツも含め、丁寧に解説されています。

こんな調子で、必要な工具やコツも含め、丁寧に解説されています。

作業を始める前に、この基本作業をを入手(こちらから入手できます)し、できれば該当ページを印刷して手元に置き、参照しながら進めるのがよいでしょう。

オイル関係作業、開始!

【手順1】ホースを切断して短くする

シマノのDCLは、どういうわけかブレーキホースの出口がすごく飛び出ているため、DCLに交換するとブレーキホースが余り気味になります。

とりあえずDCL装着完了。ブレーキホースの出口が長い・・・!

とりあえずDCL装着完了。ブレーキホースの出口が長い・・・!

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DCLを適切な位置で固定した後、ブレーキホースを短くするため、適正な位置にマークを付けて切断です。

ワイヤーと違って、単なる樹脂のホースなのでカッター等で簡単に切れます(今回はワイヤカッターで切断)

テープで目印をつけ、ワイヤカッターで切断。

テープで目印をつけ、ワイヤカッターで切断。

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「当初、切ったとたんに油が噴出して大変なことに?」と用心していたのですが、ブレーキレバーを握ってないのですから、圧力がかかることも無く、一滴も漏れずに無事切断です。

(逆に、レバーを握ると水鉄砲のように噴射するのでご注意を・・・)

【手順2】コネクタインサートを圧入

ホースをDCLに接続するため、切断部の処理をしてやる必要があります。

  1. コネクタインサートという部品を切断部に挿入
  2. オリーブという真鍮製の金具を通しす
  3. DCLに差し込んでボルトで締め付ける

という流れになします。

ここで、コネクタインサートの挿入が予想外に大変。

マニュアルでは、万力専用冶具を使ってホースを挟み込み、コネクタインサートをトンカチで打ち付ける、原始的な方法を求めています。

万力で押さえて、トンカチでガンガン。なんとも原始的な作業・・・。

万力で押さえて、トンカチでガンガン。なんとも原始的な作業・・・。

我が家には、100均で購入した柔軟性のある万力(=役に立たない)しかないため、ホースをガッチリ固定できず、10回以上もやり直し、本当に苦労しました。

これが、コネクタインサート。ここから完全に挿入するのが大変。

これが、コネクタインサート。ここから完全に挿入するのが大変。

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こんな、オモチャ万力じゃねぇ・・・。

こんな、オモチャ万力じゃねぇ・・・。

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なんとか挿入完了。樽みたいな金属は、オリーブ。

なんとか挿入完了。樽みたいな金属は、オリーブ。

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DCLに取り付け、グイグイ締め上げるとオリーブが変形して、オイル漏れを防ぎます。

DCLに取り付け、グイグイ締め上げるとオリーブが変形して、オイル漏れを防ぎます。

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我が人生でもう1回この作業があるなら、ガッチリした万力か、専用の圧入工具を用意したいと思います・・・。

【手順3】いよいよ注油開始!

レバー交換直後は、レバー本体&ブレーキホースのレバー側には油が入っていない状態ですので、改めて油を注入し、レバー・ホース・キャリパーのすべてを油で満たしてやる必要があります。

作業の基本は、キャリパー側にある注油用の穴から注射器で注油します。

放っておくとレバー側からこぼれだしてしまうので、そうならないように、例のお手製じょうごセットを装着します。

例のお手製じょうごシステムを装着し、作業開始!

例のお手製じょうごシステムを装着し、作業開始!

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具体的には、こんな手順になります。

  1. DCLのリザーバタンクの蓋を開け、ダイヤフラムを外す
  2. お手製じょうごキット(ゴム板カバー・じょうご)を取り付ける
  3. 注射器にフルードを吸引して、キャリパーにチューブで接続
  4. ブリードスクリューを開ける(1/8回転)
  5. 注射器から注油開始し、じょうごに泡が出なくなるまで入れる

お手製じょうごセットがうまくいくか不安でしたが、ちゃんと、あふれ出す油を受け止めてくれました。

ホース・レバー・キャリパー内にある泡の大部分も、じょうごにポコポコと出てきて、作業は順調です(^^)

注射器にフルードを入れて、キャリパーに接続。

注射器にフルードを入れて、キャリパーに接続。

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注油を進めると、レバー側のじょうごに油がたまってきます。泡が出なくなるまで作業継続。

注油を進めると、レバー側のじょうごに油がたまってきます。泡が出なくなるまで作業継続。

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【手順4】エア抜き作業

注油時にじょうごに溜まるまで油を流し続けたことで、以下の場所にあったエア(気泡)の大部分は抜けています。

  • ブレーキレバー(新品なので中は空っぽ)
  • ブレーキホース(ブレーキレバー側)
  • キャリパー(注射器と接続する際、空気も入ってしまう)

しかし、ほんの少しでもエアが残っているとブレーキがフニャフニャになってしまうので、すべての部位から完全にエアを抜く必要があります

エア抜き作業の基本は、注油時とは逆向きに、レバー側から油を流し、キャリパーからエアを外に吐き出させます。

結構面倒な手順ですが、具体的にはこうです。

  1. キャリパーのブリードスクリューを閉める、注油用の注射器を外す
  2. キャリパーに、廃液用ホースを接続し、その先をタンク・ビニール袋に繋ぐ
  3. キャリパーのブリードスクリューを開け、キャリパーから油を外に排出する
  4. エアが出ていきやすいように、強請ったり揺すったり、トンカチでレバーやキャリパーを叩く
  5. じょうごの油が無くならないように、注油しながら作業を続ける
  6. キャリパーのブリードスクリューを閉める
  7. ブレーキレバーを握る(バンドで固定する)
  8. 一瞬(0.5秒)だけブリードスクリューを開け閉めし、さらに油と空気を排出
  9. ブリードスクリューを閉める
  10. レバーをゆっくり操作する(最後のエアが出てくる)
  11. じょうごシステムを外す
  12. 油を溢れさせながら、リザーバタンクの蓋を装着する(ダイアフラムも)

・・・、どうでしょう?

ちょっと面倒くさそうですが、実際にやってみたら、すごく面倒でした(笑)

ブリードスクリューを一瞬だけ開けたり閉めたり・・・。

ブリードスクリューを一瞬だけ開けたり閉めたり・・・。

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エア抜きが完了し、じょうごシステムを外したところ。

エア抜きが完了し、じょうごシステムを外したところ。

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ダイヤフラムをかぶせる(溜まっている油は周囲からこぼれる・・・)

ダイヤフラムをかぶせる(溜まっている油は周囲からこぼれる・・・)

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油を溢れさせながらカバーを取り付けて作業完了!

油を溢れさせながらカバーを取り付けて作業完了!

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なんども注射器を接続したり外したり、ブリードスクリューを開けたり閉めたり、今、どの段階の作業をやっているのか見失いそうでした。

少なくとも初めてやる際は、よこにシマノの作業書を置いて読みながらやった方が良いでしょう。

手間はかかりましたが、手を抜かずちゃんとやると、レバー動作はカチッとしていて、エアによるフニャフニャ感は皆無となりました(^^)

まとめ

最大の難関だった、油圧ディスクブレーキ関係作業は、なんとか無事に乗り切ることができました。

いや、実際には小さな事故もありました。

フロントブレーキは大成功だったのですが、それで気を抜いてしまい、リアブレーキ作業の時に、注射器の接続が甘くて、注油のためにピストンを押し込んだらチューブが外れてしまい、床に大量の油をぶちまけてしまいました(涙)

飛び散ったオイル。実際はもっと広範囲、フローリングにまで・・・。

飛び散ったオイル。実際はもっと広範囲、フローリングにまで・・・。

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その後の、ツマに対する証拠隠滅作業が大変でした。

これだけ多数の手順が必要な作業だと、完全ノーミスは難しいので、やはり、屋外でやった方が無難な気がします。

これ以外は大きな問題なく、オイル関係作業(証拠隠滅作業含む)を終えることができました。

これでブレーキ関係作業は終わりましたので、残るシフト関係作業(スプロケやチェーン交換も)をクリアすれば、あこがれのDCL化完了です!

(つづく)

作業の注意点

  • 作業手順書を横においてやる
  • コネクタインサート圧入は、ちゃんとした万力か専用圧入ツールを用意する
  • 注射器の接続は確実に行う(外れると大変)
  • じょうごから油を戻すときは、じょうご内の油が枯渇しないようにマメに注油(空になると全作業やり直し)
  • 油が飛び散る可能性があるので、キャリパーはフレームから外す&ローターはカバーしておいた方が無難
  • もちろん、キャリパースペーサーも忘れずに(^^)
見るからに面倒くさそうな作業の様子(笑) 油こぼしそうだし、外でやるべきでは・・・!?

見るからに面倒くさそうな作業の様子(笑) 油こぼしそうだし、外でやるべきでは・・・!?

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キャリパーのスペーサーも忘れずに。つけ忘れてレバー握ったら大変なことになります・・・。

キャリパーのスペーサーも忘れずに。つけ忘れてレバー握ったら大変なことになります・・・。

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コメント

  1. 名前:pochi 投稿日:2018/09/22(土) 10:50:18 ID:14169f296 返信

    ブレーキパッドを付けたままブリーディングしているように見えますが大丈夫ですか?
    スペーサーもブリーディングスペーサーを使っていないようですし。。。

    • 名前:Shiro 投稿日:2018/09/23(日) 23:40:57 ID:ad4ae417f 返信

      初めまして!
      コメントありがとうございます。

      やっぱり、ブレーキパッドは外したほうが、油がかかったりしても安心ということなんでしょうか・・・?
      今回は、普通のスペーサで挟んだ上に、ウエスでカバーしながら作業していました。
      フロントはDCLから油がこぼれそうだったのでキャリパーを外し、リアは面倒なのでつけっぱなしで・・・。

      で、油断していたらリアは注射器が外れて、油が飛び散り・・・。

      幸い、前後ともパッドやディスクにはかからなかったようで、その後の走行(というかブレーキ)も快調です。

      できればもうやりたくないですが、次回はパッドを外してやってみます。

  2. 名前:_toshi 投稿日:2018/09/21(金) 21:22:56 ID:cf7bd63c3 返信

    Shiroさん:

    私、元々は二輪車、四輪車のテクニシャンだったので油圧ブレーキの取扱いに慣れてはいるのですが、対自転車は未経験です。
    驚いたのはエア抜き作業の初期にキャリパー側からオイルを注入する事です。
    思うに、マスターシリンダーもピストンも小さいからレバーを操作しても送り出せる油量が少なくて、(ワンウェイ)チェックバルブなどの装備も無いから噛み込んでしまっていているエアーをその浮力に逆らってキャリパー側から抜いてしまう事が出来ないのでしょうね。
    だから初期に大量に入ってしまっているエアーは浮力に逆らう事なく上に抜く。
    これからはディスクブレーキの時代に移り変わっていくでしょうから、後学のための勉強になりました。
    続編をお待ちします。

    • 名前:Shiro 投稿日:2018/09/21(金) 22:07:46 ID:3222737e9 返信

      そう、自分も「え?下から注入するの?」と驚きでした。

      でも、実際に作業をしてみると、確かにシリンダーは極小で、ほんの数ccしか送り出せないみたいですし、下から浮力に頼ってエア抜きするのが合理的なようです。

      ただ、ネット上のいろんな情報を読んでみると、「いや、レバー側からやってるよ」というのも見かけます。

      まぁ、最後の最後にエアが抜ければいいので、やろうと思えばレバー側からもできるのかもしれませんね。

      でも、もう一度やる?と問われると、正直言って面倒くさいですねぇ。
      耐ケミカルグローブをはめて作業しているのですが、写真のたびに脱いだりして、これが一番面倒だったりします(笑)

      油で汚れてもいいデジカメを用意すれば、もう少し楽になるかな?

      これからは、ロードもディスクブレーキの時代になっていくのですかね?
      ヒルクライムバカとしては、下りの安全度が増すのはとてもうれしいのですが、全体的な重量増加が気になるなぁ・・・。

      • 名前:_toshi 投稿日:2018/09/22(土) 07:16:05 ID:a9fde882a 返信

        Shiroさん:

        現在の所、二輪車、四輪車とも、下から注入って思考は無いですね。

        逆にしたから負圧で引き出す、ってのが一人作業ではスタンダードですね。

        ただし、四輪車で最後におこなうポンピングでの下抜きは、どうしても二人作業になってしまいます。

        息の合った二人での作業は軽快に進みますが、慣れていない人とだと結構大変だったりします。

        ディスクブレーキ化については賛否両論ですね。

        でも人間ってのは、困難にぶち当たると、それを乗り越えようって考える生き物なので、ディスクのほうに行くのでは?と思っています。

        F1レースだってスピードが出すぎて危険だからとコース途中にシケインを追加しても、その翌年にはシケイン設置前より早く走るようになりますし。

        レギュレーションとテクノロジーは常にイタチごっこですね。

        • 名前:Shiro 投稿日:2018/09/23(日) 23:50:26 ID:ad4ae417f 返信

          実は自分も自動二輪のころは作業を何度かやっていましたが、その時も上からでした(リザーバでかいですしね)

          ロードのディスク化は、下りの安全度を考えたらすごくうれしいところです。
          富士ヒルの、雨の中の90分以上のダウンヒルは、本当に地獄のような辛さですもの。

          ただ、リアはいいのですが、フロントのスポークがクロスになって、見た目が重たくなるのがいやですねぇ・・・。

          手持ちのReynolsはラジアル20本、Shamalに至っては16本という少なさで、見た目のすっきりさが気に入っています。

          ・・・が、これも数年たつと、「ラジアル組だって、だっせ~」とかなっているのかな?(笑)

  3. 名前:sramred 投稿日:2018/09/21(金) 20:07:15 ID:341670b65 返信

    >> 注油のためにピストンを押し込んだらチューブが外れてしまい

    そうか、レバーをギュッと握ったとたんにチューブがすっぽり抜けたら大変。
    エア抜き以上にこちらの方が深刻か…

    Hydraulic Rim Brakeなど一部で売っているようですが、実物を見たことはなく、
    どんな操作感なのか想像できませんw

    • 名前:Shiro 投稿日:2018/09/21(金) 22:02:42 ID:3222737e9 返信

      キャリパー側からの注入なので、下から重力に逆らって入れる形になり、チューブ接続部には想像以上に圧力がかかっていたようですね。

      正しい手順では、チューブの接続部分に専用のレバーを押し当てて圧着するのですが、それが弱かったようです。

      ちゃんと、シマノ様の手順を守らないと痛い目にあいますね・・・。

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