長い。
長すぎる。
上下巻で1,500ページ。しかし,実際には上下2段組になっているので,実質3,000ページ分ほどあるのではないかと思われます。
その長さは,『こち亀』や『ゴルゴ13』の全巻制覇に匹敵するのでは?という長さですが,そこに書かれている物語の重さは,何倍もありました・・・。
あまりに暗く,重くて,夜寝る時にも「はぁ・・・。なんとからんかね?」と思いながら寝る日々でした。
結論から言ってしまうと,おいらの公式3段階評価では☆2つくらいです。
世間では,「宮部みゆきの代表作!」と推される本作ですが,ちょいとおいらの中では評価低めです。
(そもそも,代表作は『火車』や『魔術はささやく』だと思うんだけどなぁ・・・)
評価が下がってしまった理由の一つ目は,冒頭からしつこく言ってる「長さ」です。
宮部作品では,特に凝ったトリックやアリバイ崩しなどが主題になることはありません。むしろ,単純な事件や犯行を取り上げながらも,その登場人物達の内面の描写や魅力で惹き付けていると思います。
『模倣犯』も,実に細かく人物描写がされています。もう,ちょい役の人でも事細かに書かれ,その人を主人公にして小説ができてしまうくらいです(ちょっと誇張)。
でも,話の本題に関係のないところでの描写が多すぎです。まるで,ページ数を稼ぐために,関係ないことを沢山書いていた,おいらの読書感想文のようです。
もう少し,本題に絞って書いてくれれば,テンポ良く読むことができたと思います。
もう一つの理由は,犯人達の残酷さがちょいときつかったかなぁ,と思います。
おいらは,あんまり残虐なシーンを描いた小説を読んだことがなかったので,『模倣犯』の中で繰り広げられる連続殺人は,ちょいと胸にこたえました。
別に,リアルに残虐な行為が書かれているわけではありません。
ただ,犯人達が,被害者の女性達に対し,「言うことを聞いたら解放してあげる」ことを約束しながら暴行しているのが,見るに(読むに?)たえませんでした。
拘束中の被害者達の写真は,なぜか笑顔。彼女たちが殺され,捨てられた場所は彼女たちと親しい間柄でなければ知り得ないはずの思い出の場所。
小説の最初の方で謎となる,こうした事象は,彼女たちが「言うことを聞いていれば解放されるかもしれない」という一縷の望みにかけていたからで,無理に笑ったり,自分の思い出話をさせられていたからなのです。
そうして,死の直前まで「解放されるかもしれない」と信じたまま,突然に命を絶たれる。
そして,それは一人,また一人と。
う゛~,重いよぅ。
(まぁ,他の作家ではもっと酷なのもあるのでしょう。ちょいとおいらの耐性不足かも)
また,こうした残虐性に対し「あ,僕にもそういうところがある」というような雑誌投稿がされるのですが,「げ,本当かいな!」と驚いてしまいました。おいらも,ダンゴムシをつぶしたりしたことあるけど,そんなには悪くないぞ・・・?
でも,「なぜ,殺されるのは私たち女で,殺すのは男なのか」といった趣旨のセリフにはゾクッとしました。確かに,圧倒的に男が女を殺すケースがおおいのでしょう。
といった難点2つにより,☆2つです。決して駄作ではないのですが,傑作でもないです。
ただ,タイトルの「模倣犯」は秀逸です。最後までわかりませんし。
(追記)
映画の主人公を見て驚きました。
クールな知能犯のはずですが。
おかしいなぁ・・・。