プロフェッショナルな方との語らい・・・

1台あたり200本以上ものピアノ線のテンションを調整していきます。

1台あたり200本以上ものピアノ線のテンションを調整していきます。

Nikon D70 + TAMRON 17-50mm F2.8

先々週の土曜日の出来事。

朝から天気もいいし,家族は誰もいない(ツマ=仕事,コドモ=学校),絶好のESD日和(^^)

しかし,残念ながら,その日はピアノの調律師さんが来ることになっていて,泣く泣く,その対応に当たることになりました。

でも,ちょっと心が温まる,いいお話を聞くことができました。




プロフェッショナルな人とは

小学生の頃は長男がピアノを弾いていたので,毎年調律ををしていたのですが,中学に入って運動部(柔道!)をやるようになって,すっかりご無沙汰。

前回の調律から2年放置していた分,調律作業は難航したようで,2時間ほどかかって終了となりました。

コーヒーをお出しして,ちょっとした世間話をし始めたのですが,お互い,すっかり話し込んでしまって30分。

一つの仕事に打ち込み続けてきた人だけが持つ,仕事に対する高い誇りと真摯さ。とてもいい時間を過ごさせていただきました。

以下,二人の会話の様子。

おいら: 「測定器のようなものは使わないのですか」
調律師: 「使う人もいますが,私は音叉で合わせる技術を学び,50年以上やってきました。最初に1音だけ音叉と合わせたら,あとは自分の耳だけが測定器です。原始的なんですが,この方法しかできないんです」
おいら: 「50年! そんなにお若いときから!」
調律師: 「耳で音を聞き分ける力は,骨の成長が止まるまでの間に身に付くんです。手先の技術は歳をとってからでも覚えられますが,音を聞き分ける力は18歳までに完成してしまうんです。」
おいら: 「じゃあ,耳が命ということですから,ヘッドフォンなんてダメですね」
調律師: 「生まれてから一度も使ったことがないので分からないですが。同業者では使っている人もいますね。私は使わないけど。」
おいら: 「すごいですね・・・」
調律師: 「そういえば,このピアノを弾いていた坊ちゃんは? たしか,ハンドボールかなにかをやられていたかと」
おいら: 「そうなんですが,去年の夏から急に柔道部になりました」
調律師: 「柔道!! なんとも,うらやましいですねぇ」
おいら: 「え? 柔道をやりたいと思っていたことがあるとかですか?」
調律師: 「いや,若さって言うか,その柔軟さが羨ましいなぁと」
おいら: 「というと・・・?」
調律師: 「私なんて,耳で音を聞き分けることだけを50年やってきました。すごいと言ってくれる人もいますが,この歳になると,もっと他のこともできたのかもなぁ?と思うこともあります」
おいら: 「あ,僕も最近そう思います。長男の柔道部入りは体格や性格からして無理だと思っていたのですが,たった半年で筋肉がすごく付いて,腕が太くなり,僕ではもう勝てないと思います。すごいなぁ,って」
調律師: 「子供は無限の可能性があるなんて言うけど,昔は信じなかったですよ。でも,今は本当にそうなんだなぁ,って思うんです。色んなご家庭のお子さんを見て回るから」
おいら: 「調律のお仕事って大変なんですか」
調律師: 「いや,やりたくて始めた仕事ですから大変なことなんてないです。ただ,集中力の限界があり,1台で230本のピアノ線と向き合うのは,この歳だとキツくて,1日1台しかできないですね」
おいら: 「大変なんですね」
調律師: 「大変じゃないですよ,好きなんですから(笑」
おいら: 「失礼ですが,ピアノは弾かれるんですか。よかったら是非!」
調律師: 「残念ですが弾けないんです。いじるのは大好きなんですが,弾けないんですよ」
おいら: 「メカニックとレーサーみたいですね」
調律師: 「本当だ。ご主人こそピアノは弾かれないんですか」
おいら: 「小さいころはやっていたんですが,小学6年生で指を切断する事故にあってしまって,それで・・・」
調律師: 「じゃぁ,二人ともピアノを弾けないのに,ピアノの話をしているわけだ」
おいら: 「しかも,30分も」
調律師: 「コーヒーご馳走様でした」
おいら: 「また来年もお願いします」
調律師: 「もう72歳です」
おいら: 「お若いですよ」
調律師: 「ありがとう」

久しぶりに,年長の方,しかもスーパープロフェッショナルな人と語らって,なんだかすごく心が温まりました。

45歳の若造(?)では到達できない,穏やかな心と,仕事に対する真摯な姿勢と誇り。

最初は「え~,2万円!高い~!」とツマにこぼしていたのですが,全然そんなことはありませんでした。

世の中はなんでもコスパ,コスパの大合唱ですが,効率だけでは測れない,技術や人に対する尊敬や感謝って大事なことだと思いました。

ありし日の坊ちゃん。手が小さくて大変そうでした(^^)

ありし日の坊ちゃん。手が小さくて大変そうでした(^^)

Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8

来年も大きな仕事道具を背負ってこられることを楽しみにしています。

耳を澄ませて(^^)

(おまけ)
もちろん,午後からは全力疾走でESDに向かいましたよ(^^)

妙にモチベーションが高まっていました。単純ねぇ(笑)

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コメント

  1. 名前:Shiro 投稿日:2015/01/29(木) 14:46:18 ID:2049c7582 返信

    >cressonさん

    ×聴力
    ○張力

    調律だけに,聴力が大事ということで(笑)

    30分の話の中では,ちゃっかりと,自転車スポークの話もしたりしてました。
    こちらは初心者なので,テンションメーターなるものを使ってるよ,とか。

    ピアノは,いくらなんでも弦が多すぎですよねぇ。
    200本なんて,調整していたら精神的に参っちゃいそうです。

    ピアノコンサートはフジコヘミングしか行ったことがないのですが,たった一人の楽器で会場に音が響き渡り,みんなが感動してしまうってすごいことですね。

    一生懸命弾く姿にも感動しちゃいました。

  2. 名前:cresson 投稿日:2015/01/29(木) 10:49:40 ID:34a83f8c0 返信

    こんにちは

    >ピアノ線1本は100kg程度の聴力がかかっている

    ここは突っ込む所ですか・・・張力ですよね。
    自転車とからめて、スポークの張力と大体同じなんですね。
    スポークの張力も、スポークを弾いて音で合わせてく職人も居ますし。

    私が一番好きなピアニスト、板橋文夫なんですが、彼はプレー中度々弦を切っちゃうんですよ

    また、NHKの番組で巨匠と呼ばれるピアニストのピアノを調律する調律師の話がありました
    面白かったです。
    http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/141215.html

  3. 名前:Shiro 投稿日:2015/01/28(水) 21:18:15 ID:3c01c41ba 返信

    >さん

    はじめまして。
    コメントありがとうございます!

    しかも,こんな自転車では無い記事にありがとうございます m(_ _)m

    でも,後から思ったのですが,ちゃんとした自転車屋さんだって,それこそプロフェッショナルですよね。

    今,『夢のロードバイクが欲しい!』という本を読んでいるのですが,そんなプロフェッショナルなフレームビルダーが登場してきて,素晴らしく格好いいです。

    おいらも,次のバイクはプロフェッショナルなショップで・・・(10年後?)

    はぁ~

  4. 名前:Shiro 投稿日:2015/01/28(水) 21:14:33 ID:3c01c41ba 返信

    >_toshiさん

    本当,その道を極めた人ならではの,落ち着いた語り振りが素敵でした。

    調律師の方によると,ピアノ線1本は100kg程度の聴力がかかっているそうで,ピアノ線の伸びやフレームの歪みによって音はずれていくそうです。

    それでも,調律さえやれば何十年でも持つとのこと。

    我が家のピアノも,ツマが子供の頃から使っているものなので,相当のものです。

    _toshiさんの家も,誰かが弾きたくなったら(もちろん,ご自身でも)是非,確かな調律を!

  5. 名前:みきたか 投稿日:2015/01/28(水) 20:13:45 ID:a25a793a9 返信

    いつもblog読ませて頂いてます。
    今回は自転車ネタでは無いのですがとても興味深かったです。
    いいですねー、そんなプロフェッショナルな職人の方。

  6. 名前:_toshi 投稿日:2015/01/28(水) 08:29:11 ID:5073b0bbd 返信

    Shiroさん:

    良いお話でした。
    その道を極めた人の言葉には重みが有ります。

    我が家にもピアノが有り、過去には息子も娘も弾いていたのですが、今となってはただのオブジェ(と言うか物置かな)。
    もちろん、もう何年も調律もしてもらえない可哀想なヤツです。

    高かったのになぁ・・・

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