とても,恥ずかしい限りです。
今まで,村上春樹の短編は読んだことがなかったのです。白状します。本当です。
先週,村上春樹の短編集を初めて読んでみました。で,どうだったかというと,,,とっっても面白かった!
今まで,「どんな作家が好きですか?」という問いには,たいてい,「村上春樹,宮部みゆき,北村薫,昔の江國香織」と答えていたのですが,村上春樹の魅力の半分しか見ていなかったことに気が付かされました。
おいらは,村上春樹の小説は好きで,今までほぼ全部の長編は読んできました。羊シリーズやねじまき鳥,世界の終わり,スプートニク,,もちろん,ノルウェーの森も。どの小説もかなり好き(最新作『アフターダーク』は除く…)で,繰り返し読んでいる本も何冊かあります。
しかし,今まで,どうも短編は読む気にならず,エッセイ集くらいしか読んだことがありませんでした。
ところが,あらかた長編を読み尽くしてしまったので,どうにも暇になってしまい,とうとう短編集にも手を出してしまいました。
この短編集には,
- 蛍
- 納屋を焼く
- 踊る小人
- めくらやなぎと眠る女
- 冬の博物館としてのポルノグラフィー
- ヘルマン・ゲーリング要塞1983
- ヘルWの空中庭園
の7つの短編が収められており,特に最初の3編が特に気に入りました。
蛍は,ノルウェーの森で直子と出会う部分そのもので,主人公と直子の静かな時間を描いています。またノルウェーの森を読み返したい気分になりました。
納屋を焼くは,とても面白かった。人気のない場所にある「納屋」を焼く行為。これはなにを意味するのか。なんの暗喩なのか? 不思議なおもしろさがありました。
踊る小人は,なんとも楽しいおとぎ話(?)。象の工場,という舞台自体が面白いです。なんの説明もなく,「僕は今週は,耳を担当していた。はっきり言って,ほかの部分に比べるととても楽な工程だ」みたいな台詞が冒頭から出てきます。象を生産する工場に勤める主人公と,踊りが上手な小人との駆け引き。この短編集の中では,一番面白かった。
長編には大きなスケールの良さがあり,短編には主題がはっきりした,テンポの良さがあります。村上春樹の短編がこんなに面白いとは思いませんでした。
あんまりにも短編が面白いので,17話も詰まった,こんな本まで買ってしまいました。これなら,しばらくは読めそうです。