傷口をパックリ開けては接着剤を流す,の繰り返し。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
先日,太~い釘が刺さってしまったチューブレスタイヤ,IRC ROADLITE TL。
事件当日は,タイヤを外してチューブを入れる仮補修で家まで辿り着けました。
また,後日,タイヤ裏面にゴムパッチをあてる本修理を完了させています。
しかし,タイヤ表面に残った,痛々しい釘の痕の補修が残っています・・・。
長いけど,要するにこんなお話です(^^)
- タイヤ表面にできる傷の修理方法を検討しました
- ゴム糊は用途的に「イケル!」と思ったんだけど失敗
- 硬化後も弾性力のある接着剤『ウルトラ多用途SU』がよさそう
- ただし,接着剤の塗りこみ方に工夫が必要
- うまくやれば,数百km走ってもちゃんと傷口は塞がれている(^^)
トレッド面の傷を修理しよう
パンクに至らない場合もそうですが,タイヤ表面に出来たヒビや穴を塞ぐのって,意外と難しいものです。
こういう穴って困りますよね(写真は,EliteJet<160g)
Panasonic LUMIX GM1 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8
仮に1日100km(=100000m)走った場合,タイヤ周長を2mとすれば,補修箇所は地面と50000回も接触するのですから,よほど頑丈に補修しておかないと,繰り返される衝撃でまた壊れてしまいます。
過去には瞬間接着剤で補強したことが何度かありますが,たいていはすぐに剥がれてしまってました。
「超耐衝撃!」をうたった瞬間接着剤を使ったこともありますが,そんなに頑丈な固体がタイヤ表面に存在していることが,新たなパンクの原因になりそうです(このときのパンクはこれが原因と疑われています)。
そこで,瞬間接着剤ではない方法を色々試してみました。
【方法1】ゴムのりで穴を塞ぐ→失敗
本修理でゴムパッチをタイヤ裏面に貼っている時に,「この,ゴムのりで補修すればいいじゃん」とヒラメキました。
この「ごむのり」ってのは良く分からない物質で,タイヤゴムに塗りつけると,最初はヌメヌメしているのですが,いつの間にかタイヤと一体化しているという不思議な振る舞いを見せます。
たぶん,接着剤ではないので強度は期待できませんが,前述のように「強度があると壊れやすい・パンクの原因になる」ですから,このフニャフニャ液体がちょうどいいのかと思いました。
で,塗りこんでみたのがこの状態。
どっさりと塗りこんでみました。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
さすが,ゴムのりだけあって,トレッド面と一体化しているように見えます。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
タイヤ表面の傷口をなるべく大きく開き,傷の内部まで細い綿棒を使って塗りこんでみました。
この修理を終えて数日後,例の地獄の土砂降りヤビツ90kmを走ってみたのですが,走行後の様子は以下の通り。
だめじゃ~ん。ゴムのりはすっかり剥がれ落ち,傷口もパックリと・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
ん~,だめじゃ~
予想通り,ゴムのりは強度が無さ過ぎて,あっさりと剥がれてしまいました。
【結果】ゴムのりではだめでござる
【方法2】硬化後も弾力のある接着剤『ウルトラ多用途SU』を使ってみる→失敗
タイヤ補修剤に求める性能は,
- 繰り返される衝撃に耐えられる強度
- ゴムを傷つけない柔らかさ
という矛盾したものです。
こんな矛盾した性能を持つ接着剤なんてあるわけがないのですが,家にありました(笑)
家の接着剤箱(沢山あるのよ・・・)の奥底に眠っていたのは,ボンド社の『ウルトラ多用途SU プレミアムソフト』という接着剤。
家の接着剤置き場(どこよ?)から出土した,「ウルトラ多用途SU プレミアムソフト」。アイスクリーム?
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
なんだか,「いろんなことに使えるソフトクリーム」みたいなネーミングですが,この接着剤の特徴がすごい。
パッケージやHPの説明をそのまま引用すると,「硬化後も弾力があり,曲げや衝撃に対し柔軟な強度を発揮します。」とのことです。
なんでしょう! この,穴の開いたタイヤ補修のためだけに生まれてきたような接着剤は!? 昔ながらの黄色い「ボンド」のパワーアップ版みたいなものでしょう。
さっそく,那須高原プレミアムソフトクリーム(違)を,以下の手順で傷口に塗りこんでみました。
- 傷口をなるべく開き,奥まで接着剤を塗りこむ
- 傷口を塞いだ状態にして,実用強度が出るまで硬化させる
注意すべきは2.の工程で,なるべく傷口が密着するように,押さえつけてみました。
なんだか,変てこな方法でタイヤを潰していますが,なぜ?
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
写真で見ると「タイヤを潰してなにやってんの?アホ?」という感じかもしれませんが,絵で描くとこんな感じです。
タイヤを膨らます or 潰したときの傷口の様子。おぉ~,分かりやすい(?)
傷口を開けっ放しにして接着剤で塞ぐ(左の図)のではなく,「傷口がちゃんと閉まる」ようにしてみました(右の図です)
穴を埋めるのではなく,傷口をくっつけたかったのです。
この修理を終えて数日後,藤沢~城ヶ島の往復90kmを走ってみたのですが,走行後の様子は以下の通り。
なんと,ゴムのりと同様,傷口がパックリと開いている。なんのために,こんな長い名前を与えられたと思っているのか・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
どび~ん。
こんなに長々説明したのに,まったく効果なし!
新入社員に1時間くらい長々と説教したときのような脱力感です(違?)
なぜに反省しないんだ効果がでないんだ・・・?
【結果】ウルトラ多用途SUでもダメでござる
【方法3】『ウルトラ多用途SU』を普通に塗ってみる→大成功!
方法2はなぜ失敗したのでしょう。
ボンド社が社運をかけて,タイヤ修理のためだけに開発したと思われる『ウルトラ多用途SU プレミアムソフト』を塗りこんだのに,たった90km走っただけで傷口がパックリと開いてしまいました。
ここで,修理後の走行状態を想像してみます。
タイヤは空気を入れると膨らみますから,傷口は「開く方向」に力がかかります。
一方,走行時に地面に接触する瞬間は,重力で押しつぶされますから傷口は「閉まる方向」に力がかかります。
この「開く」「閉まる」力が,前述の通り,1日に50000回も加わると接着剤も耐え切れなくなり,開く方向になってしまうのではないかと推測します。
そして,タイヤ上の1点に注目すれば,走行中のほとんどの時間はタイヤは地面に接触してなく傷口は「開く方向」です。
であれば,開いた状態の傷口に接着剤を塗りこんで,穴を埋めた方がが良いのでは?ということになりました。
そこで,方法2と同様に接着剤を傷口に塗りこんだ後は,タイヤにエアをたっぷり入れて,傷口は開いたままにしておきました(左下の図の状態で接着剤を流して硬化)。
タイヤを膨らませてできる傷口の穴を塞ぐように接着剤を流し込みます
(たぶん写真では違いが分からないですが)接着剤を塗りこんで,タイヤにエアを入れて,傷口を開いた状態で硬化させました。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
要するに,傷口の穴を無理に接合するのではなく,穴はそのままにして,接着剤を埋め込んで塞ぐという方法です。
この修理の翌日,家の近所を30kmほど,なるべく路面が荒れている場所(急勾配で溝が彫られている場所など)も選びつつ走ってみました。
その後の傷口の様子は以下の通りです。
おぉー,傷口はしっかりと閉じたままだ!(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
おぉぉ~,ワンダフル!
汚れてはいますが,ほとんど傷んでなく,ちゃんと傷口を塞いでいます!!!
なんだ,最初からこうすればよかったんだよ・・・。
【結果】普通にウルトラ多用途SUを塗り込めば成功!
まとめ
なんだか,とてもアホくさい実験結果になりましたが,過去の偉人達もこんな風に試行錯誤してきたのですが,これでいいのです(笑)
長くなりすぎて分からなくなってきたので,表にしておきます。
方法 | 方法1 | 方法2 | 方法3 |
---|---|---|---|
接着剤 | パンク修理用ゴムのり | ウルトラ多用途SU・プレミアム・ソフト | |
結果 | 傷口の穴に,パンク修理用のゴムのりを流し込む | 傷口に接着剤を塗り,傷口をくっ付けて元通りになるように修復 | 傷口の穴に接着剤を塗りこみ,傷口の穴を接着剤で埋めるように修復 |
結果判定 | NG | NG | GOOD! |
状況 | 90kmの走行で,ほぼ無くなってしまいました・・・ | 90kmの走行後でも接着剤は残ったものの,傷口はパックリ開いてしまいました | 30kmの走行後,ほぼ無傷で接着剤が残り,傷口もちゃんと塞いでいます |
『ウルトラ多用途SU』シリーズには,他にもレギュラーとハードの計3種類の固さがあります。
ただ,程度の差こそあれ,どれも「硬化後にも弾力があり」と書いてありますから,他の製品でも同じように修理できるのかもしれません。
我が家には,他にも,無数に小さなクラックが出来てしまったElite Jet<160gも残っていますから,瞬間接着剤補修を剥がし(すでに剥がれてるか・・・),今回の補修方式を採用してみます。
世の中には,同じように,タイヤ補修方法で悩んでいる人は多そうです。
他にも,「こんなのあるぜ!」とかいう情報がありましたら,是非お願いします~
(ライターで溶かしちゃう,とかダメかな!? だめ?)
はじめまして。
今年でロードバイクに乗り始めて4年になります。
これまで大変、お世話になってまいりました。
さて、ぼくはコロンバスのシューグーというものを使用しています。
クラック等の発生個所に使用していますが、問題なく使用できています。
マスキングテープを使用して使用個所を目立たなくするとほぼ、わかりません。
ご参考になれば幸いです。