久しぶりに「メカラウロコ」を体験しました。
レンズキャップやステップアップリングなんかの小物を買いに,会社帰りにヨドバシカメラに寄りました。
ふと,カメラボディコーナーを見ると,おいらのD70の姉妹機Nikon D50が展示してありました。何の気なしに,「どれどれ,どんなもんだろ。見てやろうか」と思って手に取り,ファインダーをのぞいてみました。そして驚き,愕然としてしまいました・・・
D50のファインダーは,とても明るく,そして美しい世界(と言っても,ヨドバシカメラの店内なんだけど・・・)が広がっていました。
「ほえ? D50はペンタプリズムになったのか!? 姉妹機のくせに!」とわき起こる疑念。「姉妹機なのに,姉妹機なのに・・・」
ようやく我に返って,D50の前面を見てみると,そこにはちっこい単焦点レンズ単焦点,Ai AF Nikkor 35mm F2Dがくっついていました。
あぁ,納得。単焦点はこんなに明るかったんだ・・・
普段僕が使っているのは,18-70mmと24-120mmの2本のズームレンズですが,いずれも開放F値は広角側でもF3.5。
それに対して35mmはF2.0。その差は約1.5段。たったの1.5段がこんなに明るかったとは・・・。
ほんの数年前(?),僕が中学生だった頃は,よく父親にカメラを借りて犬の散歩に出かけました。当時は松本に住んでいたのですが,夕方,北アルプスに沈む夕日と安曇野の美しさを見に,近所の見晴らしの良いところに犬と一緒に歩いていきました。
そのときに持っていたレンズは,Carl Zeiss Planer T* 85mm F1.4。あのZeissの傑作,PlanarのF1.4です。
ただでさえも美しい松本の風景なのですが,Planarを装着したCONTAXのファインダーには,圧倒的に美しく切り取られた世界が写っていました。明らかに肉眼で見るよりも,ファインダーの中の方が美しいのです。
美しさに「はぁ・・・」とため息をつきつつ,2~3枚撮っては犬とのんびり夕日を眺め,てくてくと家に帰ってきたものでした。
翻って今はズームレンズ全盛時代。24~300mmなんていうレンズがもてはやされ,コンパクトデジカメですら「10倍ズーム!」などと言っています。
でも,ズームレンズがもたらしてくれる「便利さ」と,単焦点レンズでしか得られない「美しさ」。不便ではしょうがないんだけれども,なんでもかんでも便利さ一辺倒になっている今のカメラ業界。
特にコンパクトデジカメを売るためには,「美しさ」よりも「○○倍ズーム!」「手ぶれ補正!」「何百万画素!」とか言える方が訴求力があるんだろうなぁ。(そもそも画素数だって,どう考えたってあのイメージャーサイズでは低画素数の方が高画質だと思うんだけど,「300万画素!」では訴求力低いよなぁ・・・)
僕もすっかりズームの便利さにばかりとらわれていますが,久しぶりに見た単焦点の潔い美しさ(と不便さ)には,メカラウロコでした。大庭商会あたりだと,2万円くらいだし,買っちゃおうかなぁ・・・
イモオトさんは,Carl Zeiss Distagonの単焦点を付けたCyber Shot F77をご愛用。ご本人はズームがほしいみたいだけど,やっぱり,単焦点には単焦点の良さがあると思いますよ~