「ろみお ろみお なぜおまえは ろみおぢゃ」「よごれっちまった かなしみに」・・・
冒頭から,なんのことやら?とうい感じですが,奥さまがチビ達用に衝動買いしたカルタの読み札です。
我が家には今までも,「機関車トーマス」のようなキャラクター物のカルタはあったのですが,今回のカルタは,ひと味違った面白さです。
なんせ,絵がシンプルですてきです。すべてモノクロ。ピクトグラムのように単純化された直線と曲線で描かれています。
そして,読み札。というかモチーフ。
「おのれのほっせざることを人にほどこすことなかれ」なんていう高尚な物から,「へいきのへいざえもん」「ちゅうちゅうたこかいな」といった脱力系まで,実にバラエティーに富んでいます。
そして,一枚,一枚の読み札には説明があります。
例えば「よごれっちまった かなしみに」(←子供用とは思えなん・・)は
「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる」と続きます。言葉に独特の感覚を持つ詩人,中原中也の『汚れつちまつた悲しみに・・・』の一節で,傷ついた心を詩にしたものです。声に出してみると分かりますが,中也は「汚れちまった」ではなく「汚れっちまった」と表現しています。投げやりめいた口調そのままの中にかえって悲しみが強く表現されています。
といった感じです。
例によって,チビ達は一枚ごとに,どっちが取るたびに,血で血を洗うような戦闘を繰り返しています。激戦の果て,カズボンが「てんはひとのうえにひとをつくらず」を誇らしげに取り上げたりしています。絵札と行動の落差にぐったりですが,解説を読み聞かせてあげると,「ほほぅ~」と聞き入っているので,笑えます。