富士スバルライン試走時のGARMIN connectによるデータ表示。たったの753カロリーで登れたの!?
スポーツバイクをやり,再婚サイコンを使うようになると,「カロリー」が気になるようになりました。
といっても,ごく最近を除けば,今まで「体重」や「ダイエット」を気にしたことはないので,もっぱら,「1日で何カロリー消費したか?」という,達成感を味わう(?)ための数字として楽しんでいました。
しかし,同時に,いろいろなサイコン表示や雑誌・ウェブ記事などで,数字が1000倍も違うことがあり,不思議に思うことが多々ありました。
ちょっと調べれば分かることではあったのですが,これほど紛らわしい単位も珍しいのでは?ということで,思い出しながら記事にしてみました(^^)
カロリー? キロカロリー? それが問題だ
基本の「き」ですが,カロリーは熱量の単位で,SI単位でいえば,
です。
ここまでは,高校の物理で習う通りだと思うのですが,オトナの世界は単純ではないみたいです。
例えば,脂肪に関する記述でも,こんな2通りの表記を見かけます。
- 脂肪1グラムは9キロカロリー
- 脂肪1グラムは9カロリー
最近では,前者(キロカロリー派)が多いと思いますが,後者(カロリー派)もそこそこ見かけます。
書く人によって違うのかと思えばそうでもなく,同じ書籍の中でも両方が出てくるというすごいこともあります。
先日紹介したばかりの,『新版 図解 スポーツトレーニングの基礎知識』においても,こんな風に両方の表記が混在しています。
脂質1gあたり9kcalのエネルギーになる。
p.184 「食事」
脂肪は余分な荷物と思われがちだが1gあたり9カロリーのエネルギーがあり・・・
p.198 「体脂肪」
70kgの人が,フルマラソンを走れば,約3000カロリーを消費することになる。
p.194 「カーボロード/ウォーターロード」
これらの表記が,普通に併存しているのってものすごく不思議ですよね。
だって,1000倍も違うんですよ!?
仮に体重だったら,大変です(熱量だって大変なんですが・・・)
- おいらの体重は,58キログラム
- おいらの体重は,58グラム
後者だとしたら,おいらはまだ母のお腹の中のハズです(笑)
サイコンの画面でも,おいら手持ちのEdge810JとEdge705では,同じGARMIN社なのに,810Jが「Kcal」なのに対して,705は「CAL」。
左のEdge705はcal,右の810JはKcalと,違いがあります。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
また,GARMIN connectは冒頭写真のように「C」,Training Center(Edgeの管理アプリ)では「cal」と表示されています。
一体全体,どうなっているんでしょう・・・!?
こちらはヤビツの結果を表示しているTraining Center。「合計カロリー」の欄はcalです。
ウルトラ紛らわしい,「Cal」という単位
諸悪の根源は,「Cal」という,ウルトラ紛らわしい単位のせいのようです。
CGS単位系では,熱量の基本単位は「cal」(カロリー)なのですが,その1000倍を表す「Cal」という単位も慣例的に存在しているとのこと。
違いが判ります?
Cal(大文字)とcal(小文字)の違いなんです・・・。
絶対に混同しますよね。
念のために整理しておくとこんな感じです。
だれでしょう,こんな紛らわしい単位を発明したのは・・・。
英語の場合,まだ表記上は差がある(Cとcですが・・・),日本語にいたっては表記も発音も,どちらも「カロリー」で全く同じ。いくらなんでも紛らわしすぎです~
大文字カロリー (1000倍カロリー) |
小文字カロリー | |
---|---|---|
英語(表記) | Cal, C | cal |
英語(発音) | カロリー | |
日本語(表記) | カロリー | |
日本語(発音) | カロリー |
以前は,特に食品関係ではCal(大文字)もよく使われていたのですが,あまりに間違いやすいので,最近ではcal(小文字)に統一されつつあるようです。
まとめ
これで,「脂肪1グラムは9キロカロリー」という人と,「脂肪1グラムは9カロリー」という人のどちらも正しいという謎が解けました。
Edge705を使い始めたときは,まだこういう知識がなかったので,「富士山一周で2000カロリーか。おにぎり1個で100周もできる!」と感動したりしていました(←バカ,笑)が,同時に違和感も感じでいました。
1000倍も大きさが違うので,著者によってどちらの意図(Calまたはcal)で使ったとしても,その前後の文脈でなんとなく分かるのでしょうね。
で,ここまで書くと分かるのですが,GARMINはカロリーの表示単位を誤りまくっています。
製品 | カロリーの表記 | 問題点 |
---|---|---|
Edge705 | CAL | Calなのか,calなのか分からないです。 |
Edge810J | Kcal | 大文字のKはケルビン(温度の単位)です。 |
Training Center | cal | 典型的なミス。正しくはkcal。 |
どれも,正しい表示は「kcal」(または「Cal」)です。
こんな風に,大企業が扱っている製品ですら間違えているのですから,やっぱり,小文字calに統一してほしいなぁ~。
おしまい(^^)
【おまけ】単位の大文字小文字あれこれ
理系出身の人は,たいてい,単位にはある程度の注意は払うように思えます(もちろん,そうじゃない人もいますが・・・)
が,世の中には単位なんて関係ないぜ!というくらい,無頓着な表現もよく見かけます。
見かけた表記 | コメント |
---|---|
江ノ島3K | よく見かけます。 3ケルビン(-270℃)は相当に寒いですが・・・。 |
江ノ島3Km | これもよく見かけますね。 法がまずかったのですが,一応,2008年に気が付いたのか(?)見直し省令が出ています。 |
江ノ島まで3KM | たまに見ます。 さすがに読めません・・・。ケルビンメガ? |
ONLY 1MG TAR | タバコのパッケージ。 1メガGって,すごい重力ですが,喫煙者は頑丈なんでしょうか・・・。 |
100リットル/円 | ガソリンスタンドで。 以前,名古屋で発見した,世界一安いガソリン。 |
ご来店ごとに5Pt進呈 | ドラッグストアなど。 5ペタトン(10億トン)は持ち帰るもの大変。ゴメンナサイ,こじつけです(笑) |
たいてい,大文字小文字に配慮しない(またはデザインの都合で無視)が多いのですが,最後の2つはちょっと違うか(^^;)
SI(国際単位系)では,単位そのものと,倍数を示す接頭語を組み合わせます。
で,なんとなく,「単位」は大文字が多い(V,A,N,W,Paなど)のですが,「接頭語」はバラバラ(T,G,M,k,m,hなど)で,さらに例外もたくさんあるので注意が必要です。
全部大文字にするとか,小文字に統一しちゃえば問題はないとは思うのですが,簡単にはいかないので,あちこちで,M(メガ)とm(メートル),k(キロ)とK(ケルビン)などがごちゃごちゃになっているんでしょうね(^^;
ちなみに,大昔のコンピュータ(=おいらが学校で習っていた時代。計算機)だと,大文字しか表示できないのが当たり前だったので,大文字だけの単位表記方法がJIS規格で決まっていました。
ちょいと調べてみると,21世紀の今もまだまだご健在なのですね!(JIS X0124 単位記号の情報交換用表記方法)。
1Pa = 1PAL。懐かしくて目頭が熱くなりました・・・。
大カロリー 小カロリー と発音します、と、中学理科(確か理科Ⅰ)で別所先生(そんなモン誰にも関係ないって)に習いました。
明示的に分けることを目的として古い時代にはキチンとしていたようですが、栄養学だダイエットだと言ってこういった単位が科学の世界から一般生活に浸透してくる過程で一知半解・半可通が区別があることを知らずに本を書いてそれが孫引きされる中でガタガタになったものだと思います。