9月のおいらは「宮部みゆき強化月間」。今回は,宮部みゆきのシリアスな小説を読みました。
宮部みゆきは,少年を主人公とした心温まる小説を書くかと思うと,『火車』や『模倣犯』のように社会問題を取り上げたシリアスな小説を書くことがあります。そして,今回読んだ『理由』は,後者のタイプの小説です。
ストーリーとしては,カード破産を扱った『火車』に近いものがあります。
しかし,カード破産に陥った女性の悲劇をテーマとした『火車』とは異なり,『理由』は超高級マンションを巡る悲劇を題材にしながらも,テーマは「家族」です。
超高級マンション(おいらのふるさとのすぐ近く,北千住です)で起きた「一家」4人全員の惨殺事件。しかし,その「一家」は,本来,そこに住んでいるはずの4人ではなかった。しかも,そもそも4人は家族ですらないという事実が明らかになる・・・。
「一体,誰が殺されて,その理由は何なのか?」
そんな風にして物語は始まります。
結論から言って,この小説はかなり面白かったです。知識として,裁判所の競売物件には(残念ながら)様々なトラブルが起こりうることを知りました。また,様々な家族のあり方,家族としていることの危うさ,暖かさに思いをはせることもできました。
というわけで,とても面白い小説だったのですが,難点もあります。
それは,やたらと長い(700p)。この1点につきます。
小説全体が,事件関係者へのインタビューという形式を取っています。従って,心理的な描写や客観的な事象についても,すべて「だれかのセリフ」で描写する必要があり,どうしても長くなってしまいます。
また,関係者がやたらめったらと多いので,おいらの小容量メモリでは,分からなくなってしまうこともありました(涙)。
全体としては面白い小説だっただけに,ちょいとそこは残念でした。
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