今回の事故の犠牲者たち。左上から,RDバネ,RDのB軸台座,STIユニットカバー,ディレイラハンガー・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
「プーリーを頼んだらシューが来た」という珍事も起きたりして,もはや,サグラダ・ファミリア(または横浜駅)のように,永遠に完成しないと思えた595号のリアディレイラ周り。
プーリーの到着を待っているとさらに遅くなるので,とりあえず,現行のプーリー(歯が1枚欠けている)を流用し,それ以外の部分を完成させることにしました。
最大の課題は,一度もやったことがない「B軸一式の交換」を無事にできるか,でした。
あんまり無事ではないですが,なんとか,無事に作業終了することができました(日本語変?)
肝心な部分が分かりにくいので要約すると・・・
- バネは,1回転分のテンションを掛けつつRD本体に収納する必要がある
- これを同時にやろうとすると,失敗する(入りきっていないバネが変形する)
- ハンガーをRDに取り付けてB軸を締めこんでいき,バネをRD本体にほぼ収納させてからテンションを掛ける
- テンションも半端無い力なので,手ではなく,モンキーやバイスが良い
こんなところです。
まずは説明の準備を(^^)
いつもなら多く(多すぎ?)の写真を交えて説明するのですが,今回は強力なバネを両手を使って抑え込みながらの作業だったので,あまり写真が撮れず,文字主体の説明になってしまいました(フォトポタ日記なのに!!!)
また,扱うパーツの名称が分からないモノばかりだったので,混乱しないよう,以下のように各パーツに番号を振りました。
「B軸一式」の全パーツ。この番号で説明していきましょう。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
以下,この写真番号を使って説明していきましょう~(^^)
B軸復旧の作業方針
今回の事故でぶっ壊れたのは,B軸のテンション調整用ボルトの台座部分⑤です。
さすがのシマノも⑤だけでは売ってなく,B軸一式(①~⑥,Y5X098010)で購入しました。
RDも使用5年になりますので,せっかくですから,B軸を全部交換してしまいましょう(^^)
夢にまで見た(オーバー),B軸一式パーツです。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
実際の作業の様子
たった6個のパーツを入れ替えるだけですから,簡単そうに見えるB軸交換作業。
が,予想以上に手間取ってしまい,写真撮影を含めた作業時間は2時間近くもかかりました・・・。
何をそんなに手間取ってしまったんでしょうか!?
【手順1】まずは分解しちゃいましょう(^^)
B軸の分解作業は拍子抜けするほど簡単です。
RD本体を通り抜けたB軸①は,フレーム側でCリング⑥で固定されているので,⑥をマイナスドライバーでつついて外せば分解できます。
⑥Cリングをマイナスドライバーで突いて外せば,分解できます。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
B軸の内部には強いテンションのバネ③が内蔵されていて,それを台座⑤で蓋をする形になっています。
なので,Cリング⑥を外して,台座⑤を開けると,強い勢いでバネが回転してテンションが解放されます。
バネは飛び出す方向ではなく,軸方向に回転するだけですが,念のために軍手をして作業をしたほうが無難と思います。
⑤台座を外すと,中から③バネが出てきます。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
Cリングを外した後は,ほかのパーツ(①~⑤)を全部外すだけです。
図面があるので問題はないとは思いますが,念のため,正しい状態(特に④の向きなど)をよく見て,できれば写真を撮っておきましょう。
また,Oリング②はとても気が付きにくいので,よく探して外しましょう。
④キャップはこの向きだす。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
②Oリング。見つけにくいので気を付けましょう。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
【手順2】B軸をグリスアップ!
取り出したB軸①は古いグリスで真っ黒になっていました。
上が取り外したB軸一式。下が新品のB軸一式です。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
必要性はわかりませんでしたが,せっかくの機会なので,新品のB軸①には新しいグリスを薄く塗っておきました。
もちろん,DURA-ACEグリスです(^^)
もちろん,グリスはヅラグリス(^^)
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【手順3】組み立て開始! あっさり失敗!(T_T)
B軸自体は難しい構造のパーツではないので,組み立ては分解の逆をやるだけです。
しかし,予想以上に大変な作業でした。
台座⑤には,バネ③を差し込む穴があります(RD本体にもあります)。
ここにバネの先端を差し込んでRD本体に収納すればいいのですが,そのとき,バネはほぼ1回転分,強いテンションを与えてあげなくてはいけません。
最初は,両方の作業(RDへの収納,テンションの付与)を手でやろうとしたのですが,すごく大変。
ペンチで台座⑤を掴み,RD本体に押し込みつつ,同時に軸方向に回転させていったのですが,失敗でした・・・。
RD本体に入りきる前に台座⑤をグイグイと回転させると,そのとき,RD本体に収納しきれていないバネ③の一部が変形して,元に戻らなくなるのです。
バネを入れて,④⑤で塞いで,この後ペンチで回したら・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
バネのもっとも外側の1巻きが変形してしまいました・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
必要なのは,「バネをRD本体に全部収納しつつ,ほぼ1回転分の強いテンションをかけてあげる」とい作業。
だったら,「全部収納しきってから台座⑤を回転させればいいじゃん」と思われるかもしれませんが,それは駄目です。
RD本体には,バネの強いテンションを受け止める「ノッチ」が付いていて,これが邪魔して台座⑤は1回転できません(というか,溜めたテンションはこのノッチで保持される)。
ここの出っ張り(ノッチ)に,⑤台座を引っ掛けてやる必要があります。
どうしたもんだか・・・。。
【手順4】原始的(?)な方法でかろうじて成功
おそらく,マレーシアのシマノ工場では,おばちゃんが,手作業で月産数万個のRDを大量生産しているはず(?)
SHIMANOマレーシア工場勤務のおばちゃんの仕事風景(うそ)
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そのコツを教えてもらえればいいのですが,残念ながらおいらはマレー語を喋れないので,自分でできる範囲で考えてみました・・・(^^;)
で,うまくいったのがこの方法。
- ディレイラハンガー(の切れ端でもOK)をB軸①に装着する
- B軸①を締めて,台座⑤(キャップ④含む)をRD側に押していく
- RD本体のノッチに,台座⑤がギリギリ引っかからないところまで,B軸①を締める
- 3の状態で,台座⑤を軸方向に,RD本体のノッチを乗り越えるところまで回してテンションを溜める(ほぼ1回転)
- 台座⑤をRDのノッチにわずかでも引っ掛けられたら,すかさずB軸①をさらに締めてノッチにしっかり乗せてやり,あとはほぼ正規の位置まで締める
- Cリング⑥を嵌めこむ(マイナスドライバーで隙間を作ってやり,押し込む)
手順4が最大の難関です(1回目はここでぶっ壊しました・・・)。
素手でやるにはバネが強すぎて難しいし不安定なので,台座⑤を大きめのモンキー(ペンチだと難しい)やバイスで固定するのがいいと思います(おいらはモンキーでやりました。サル年ですし)
ディレイラハンガーを取り付け,モンキーで固定すると作業が桁違いに楽になります。写真がこれしかない・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
この作業が一番面倒でコツが必要だと思うのですが,なんせ,両手でバネを押さえつけての作業なので写真が全然なくて,申し訳ない限り・・・
マレーシアのおばちゃん達は,もっと簡単な方法で,小指でヒョイっとやって月産数万個なのかもしれませんが,非力なおいらでは,この方法が限界でした(^^;)
SHIMANOのお家芸,冷間鍛造技術の様子(うそ)。
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そのほかの作業は超簡単
RDのB軸交換が終われば,あとの作業はいつもの通りなので,迷うことはありません(その割にはよく失敗はしますが)。
1週間だけローラー台専用で活躍したTIAGRA RD-4500(3回しかやりませんでしたが・・・)を外し,新生RD-7900を装着します。
前回作業で,チェーン長を誤って1コマ長くしていたので,またもこれ見よがしにHEXUS IIを使って1コマ切り詰めたりしましたが,そのほかは迷うところは特にありませんでした(^^)
もう,4回も(無理やり)使っている,HEXUS IIのチェーンツール。元は取れたか?(笑)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
1週間,3回のローラー台を回してくれた,TIAGRA RD-4500さん。ありがと~(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
完成! 超美しい,RD-7900!!(プーリ―がまだだけど・・・)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
これにて,RD自爆事故の復旧作業は完了!!
・・・と言いたいところなのですが,まだ上下プーリーの交換が終わっていません。
おそらく今週中には正しくプーリーが届く(たぶん)ので,その交換をする必要があります。
上下プーリーを交換して作業完了!
・・・でもなくて,今回は適当に書類用のクリアケースで蓋をしてしまった,STIのユニットカバーの正規復旧作業が必要です。
こちらについては,純正のユニットカバー(Y6SC98210)の入荷が3月中旬以降となっているため,そこまでは作業は未完のままです。
右STIのユニットカバーも壊れているんだよなぁ・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
まだまだ,595号のサグラダ・ファミリア状態(または横浜駅状態)は続きます・・・。
おしまい(というか,「つづく」か?)
肝心な部分が分かりにくいので要約すると・・・
- バネは,1回転分のテンションを掛けつつRD本体に収納する必要がある
- これを同時にやろうとすると,失敗する(入りきっていないバネが変形する)
- ハンガーをRDに取り付けてB軸を締めこんでいき,バネをRD本体にほぼ収納させてからテンションを掛ける
- テンションも半端無い力なので,手ではなく,モンキーやバイスが良い
こんなところです。
本文中に書き忘れましたが,もちろん,ハンガーは新品です(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
今回も実に有用な記事をありがとうございました。
自転車ブログの中でも珍しい案件ですね!
⑤台座は他のグレードのRメカ台座と共用では無いのでしょうか。
RD6700とRD5700の分解図を見ましたが、台座に固有番号がないので同一部品か
どうか分かりませんね。絵で判別する限りでは違う台座のようにも見えますが。
僕にもサグラダ・ファミリアな案件が今ありまして、
1992年製のブリジストンシティサイクルがそれです。
後輪ハブのガタが気になるので分解したら、自然な流れ?で内装3段変速ハブの分解に
発展してしまい、24年ぶりのグリスを入れ直しました。
当該ハブが古くPDF分解図も公開されていないので、ウェブの情報を手がかりに組み直してる所です。内装ハブの機構はからくり時計のような感じがしました。
私事で失礼しました。