久しぶりに,ヘッドセットを分解清掃してみました。
Nikon D600 + Nikkor 35mm F2D
先日の土砂降り裏ヤビツライド(またもこの書き出し)で,残る最後のメンテナンス箇所,ヘッドセットの分解清掃を行いました。
595号のヘッドセット(HEAD FIT)は,上下ともにシールドベアリングだから雨水浸入は大丈夫かな?という思いもありましたが,まさにシールドベアリングのクランクも浸水していたくらいですから,念のためにやってみました。
要するにこんなお話です(^^)
- 先日の土砂降りヤビツ後のメンテナンスで,久しぶりにヘッドセットを分解清掃した
- LOOKのHEAD FITは調整は楽だけど,分解はちょっとコツがいる
- 密封構造だと思っていたヘッドセットにも雨水が浸入した形跡が!
あんまり分解したくないのよねぇ・・・
過去に何回か触れていますが,595号のヘッドセットである「HEAD FIT」は,アヘッドの一種かと思いますが,色んな点で異なっています。
項目 | HEAD FIT | 普通のアヘッド |
---|---|---|
コラム固定のとっかかり | コラム外側に付けたCリング | コラム内側に圧力したスターファングルナット |
固定力の伝わり方 | 上ベアリング→ハイトアジャスタ→コラムCリング | スターファングルナット→トップボルト→トップキャップ→ステム→スペーサー→ヘッド |
ステムの役割 | コラムとハンドルの連結 | コラムとハンドルの連結と,コラムをヘッドに押し付ける役割を兼ねる |
玉アタリの調整 | ハイトアジャスタを回すだけ | トップボルトとステム位置の調整 |
スペーサーの役割 | 見た目? | 玉アタリの力伝達 |
メンテナンス | Cリングの着脱が超面倒くさい | ステムを外すだけだから超簡単 |
ステアリングコラムという「棒」を自転車のヘッドに固定するためには,何らかの「取っ掛かり」が必要です。
普通のアヘッドでは,コラムの内側に打ち込んだスターファングルナットが取っ掛かりですが,HEAD FITではコラム外側に嵌めたCリングが取っ掛かりになっています。
このデカイCリングを,「ハイトアジャスタ」というBBくらいある大きなナットで締め付けることで固定力を発生させています。
ネジが切ってあるパーツのチョイ上にあるのが,Cリング。
Nikon D600 + Nikkor 35mm F2D
すごく簡単な作りで,日常の玉アタリ調整もハイトアジャスタを回すだけですから,とても合理的なシステムなんですが,「Cリングが外しにくい!」という大きな問題があります。
それこそ,なんの取っ掛かりも無い「C」の形をしたリングを外さなければならないのですが,すぐにくるくる回ってしまい,なかなかうまく「C」を広げて外すことができません。
初めてやった分解作業では5~6本のマイナスドライバを駆使して外科手術のような作業をしていたのですが,それから3回くらい分解作業をやっているのでだんだんコツを掴んできていて,今ではマイナスドライバ1本で外せるようになりました。
ドライバーをチョイチョイっと差し込んで外します(実際には,ドライバーは下方向から差し込みます)
Nikon D600 + Nikkor 35mm F2D
が!
グリスで滑りやすくなっているコラムに対して,鋭利なマイナスドライバーを向け,ちょっと手先が滑ればカーボンでできたコラムや自分の手を傷つけてしまうリスクがあります。
毎度のことですが,この作業だけは嫌だなぁ・・・。
恐るべしヤビツ土砂降りパワー。浸水の形跡アリ!
長々と「Cリング賛歌」を書いてしまいましたが,なんとか,手もコラムも傷つけずに分解することができました。
前輪を付けたまま外しちゃったので,なんだか一輪車のようです(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
さっそく内部を良く見てみると,コラム表面に水の流れたような痕跡が見られます。
これが,月面や火星表面なら「生命存在の証か!?」と大騒ぎになるところですが,自転車のコラムは濡れるべきところではないので,別の意味で大騒ぎになります。
水の流れたような痕跡が・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
ウェスで汚れを拭いてみると,あっさりと除去できてしまいました。
購入時からの汚れや油とは思えず,やっぱり,水が流れた痕と考えるのが良さそうです。
ヘッドの上部から浸入した水が,コラムを伝って流れていたんだろうなと推測されます。恐るべし,ヤビツ土砂降りパワーです。
ウェスで一拭きしたら,あっさりと綺麗になりました。
Nikon D600 + Nikkor 35mm F2D
せっかく,(面倒な)ヘッドセットの分解をしたのですから,ベアリングやカップル類も清掃しておきました。
先日のBBの時と同様に,シールドベアリングのシールも剥がして内部清掃してみようかと思ったのですが,2つあるベアリング(上,下)ともに,シールはかなり固く閉ざされていて,針やテープでは剥がす事ができませんでした。
無理にイジって傷つけてしまったら大変なことになりそうなので,表面だけササッと拭いて清掃完了です。
(シールドベアリングの,正式な清掃の仕方ってどうやるんでしょうね? それとも,一度シールしたものは外さないことが原則なのか!?)
上側ベアリング。やっぱり汚れてるな・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
HEAD FITのパーツ。どろどろじゃ~
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
シールを剥がすのはあきらめ,外観だけキレイにしておきました。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
清掃後は,上下ベアリング,ハイトアジャスター内部などにしっかりとグリスを塗りこみ,いつまた土砂降りに遭遇しても大丈夫なようにして,元通りに組み立てました。
今回の作業での教訓(経験)は以下の通りです。
- 雨中走行したらヘッドパーツ浸水も疑うべき
- やっぱりCリング外しは面倒
- シールドベアリングは簡単に分解できない
それではまた,次の土砂降りライドでお会いしましょう!(^^)
【おまけ】
作業終了後の写真は以下の通りなのですが,作業前と比べて一つ違う点があります。
さて何でしょう?
「内部が清掃されている」とか,写真では見えないのはダメですよ♪
完成後の写真。作業前との違いはなんでしょう~?(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
正解は,次回記事で~(^^)
>RA3 EXさん
こんばんは~
走行前にちゃんとテストしてること自体,すごいです!
確かに入門書などでも「基本」として書いてあるのですが,ついつい,適当にしてしまって痛い目に遭ったこと多数です・・・(反省)
なんとなくてですが,自転車関係の各部メンテナンスの中で,ヘッドセットに関してはどうも扱いが一般的に解説されていないような気がします。
結構重要なパーツの割には,「プロショップに任せましょう」でお茶を濁されているような・・・。
でも,普通のアヘッドならそんなに難しくないので,是非挑戦してみてください~!(^^)