設計中の「輪っか」。一体なんの部品でしょう・・・?(^^)
自転車発電所シリーズ第2回目は、回路設計とオルタネーターの駆動メカ構築まで。
今までやったことのない工作なので、なかなか楽しいものです。
発電回路を設計しよう!
今回の自転車発電所で使うのは、クルマ用のオルタネーター(ヤフオクで2000円)。
オルタネーターはママチャリの直流発電機(ダイナモ)と比べると、以下のような違いがあります。
- 交流発電機である
- 発電効率が良い
- 交流を直流に整流する回路(レクチファイヤ)が内蔵されている
- 電圧変動を抑えるための回路(レギュレータ)が内蔵されている
- 回転子の電磁石を界磁する外部電源が必要
注意すべき、かつ、面倒くさいのが5.の外部電源が必要な点。
いったん発電が始まってしまえば自前の電力を供給できるのですが、始動時には誰かが電源を与えてくれないと発電が始まりません。
自転車発電業界(?)の先人たちは、界磁用電源を確保するために、オルタネーターとは別に小さなダイナモ(まさにママチャリ用)を使って始動用電源を確保し、発電が始まるとダイナモを切り離すようにしていたようです。
しかし、以下の理由からダイナモ方式は不採用としました。
- ダイナモを用意するのが面倒くさい
- 始動時はタイヤに接触させ、走り出したら離れるメカを作るのが大変そう
- ロードバイクのタイヤではサイドカットでパンクしそう
界磁用電源は始動時のわずかな消費なのでモバイルバッテリーでもよいかと思ったのですが、5V→12Vの昇圧回路や充放電回路を作るのも面倒くさくて、結局、普通のクルマと同じように鉛電池で行くことにしました。
鉛電池さん。もっと小さくていいんだけど、これが最小っぽいです(5Ah)
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
鉛電池なら直結するだけでフローティング充放電できるので、何も考えなくてよさそうです。
Amazonで一番安い鉛電池(12V5Ahで1100円でした)を使って、こんな回路でやってみることにしました。
超精密な回路図(笑) ま、だいたいこんなもんでしょう。
- オルタネーターの発電出力(B端子)に鉛電池を並列接続
- オルタネーターの界磁電源(IG端子)に鉛電池・発電出力を接続
- 発電出力は直流なので、DC/ACインバーターで交流化
- 発電出力は少し高めなので、デカいダイオードで降圧
- やる気につながりそうなので、発電量の現在値を表示できるメーターを設置
こんなところで、やってみましょう!
左が電力計測メーター(1800円@Amazon)、右が車用インバータ(1300円@ハードオフ)
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
ローラー台でオルタネーターを回そう!
実は、回路以前に一番大事なのが、そもそも、どうやってローラー台でオルタネーターを回すかです。
自分が愛用しているローラー台はGROWTAC社のGT-ROLLERですが、こんな発電バカ(?)のための設計になっていません。
「ZWIFTを始めましたシリーズ」4回目の今回は、いよいよ、Shiro家3台目のローラー台、GROWTAC社の「GT-Roller FLEX3」の紹介です。
すでに我が家にある、固定(ELITEなんとか)、3本(ELITE Arion)のローラー台と比べてどうなのか、そこを中心に紹介していきましょう。
モーター形状の負荷装置があるローラー台なら、その代わりにオルタネーターを直結できそうですが、GT-ROLLERはフライホイールを磁力でブレーキをかけるタイプの負荷装置(正確にはフライホイールの直近にブレーキ用の円盤が回っています)なので、改造は難しそう。
GT-ROLLERのフライホイール。これを上手く利用して・・・
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
そこで、このフライホイールをプーリーのように使って、Vベルトで繋いでオルタネーターを駆動することにしました。
そのために作ってみたのがコレ(↓)
駆動メカニズム(笑) いつも以上に適当な感じが・・・。
フライホイールをプーリー化するリングを3Dプリントで作ってみました。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
6mmのイモネジ(4個)で固定します。意外とまじめな造り。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
フライホイールの直径や幅がちょうどいい感じなので、3Dプリンターでガイドリングを2個作って、それらを嵌め込んで、フライホイールをプーリー化してみました。
これなら、ローラー台本体は改造不要だし、費用もほぼ0円です(^^)
ガイドリングの設計は以下の通り。
- リング内径をフライホイールの外径+α(うちの個体は125mmジャスト)
- フライホイールにはめ込んで、6mmイモネジ4個で固定
- リングの厚みは1cm(ベルトの厚みこのくらい)
- リングの幅は1cm(もっと薄くしたかったけど強度が足りなくなる)
- 材質はPLA(生分解性プラスチック)、内部充填率100%で強度を上げる
- リングの縁は4mm程度のテーパーをかける
本来、Vベルトは「V」の側面部分の摩擦で駆動するものですが、こんなやわなプラで駆動はできないので、あくまでも脱落防止用のリングです。
Vベルトはいろんな形状があるようですが調べても全然わからないのでM型で、サイズは悩んだのですがある程度「えいや」で28インチを選択(533円でした)。
フライホイールにVベルトをひっかけられるようになりました。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
そのほかに用意したものとしては、発電所全体の台になる木板(L=900mm、W=300mm、T=18mm)、L金具多数。
オルタネーターや端子台などを固定するため、なんだかんだでL金具に頼ってしまい、こいつらに一番金がかかってしまった気がします(だいたい1個500円くらい・・・涙)
主な材料たち。やたらとL金具が多い。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
土台に穴をあけて・・・。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
こんな感じに固定してみる。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
結構重いので、分厚いL金具でがっちり固定。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
とりあえず連結完了(^^)
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
オルタネーターをL金具で木板に固定して、同じ板にGT-ROLLERを載せることで、Vベルトのテンションを一定に保つとても簡単な構造です。
さっそく、無負荷で回してみたのがこちらの動画。
おぉぉ~、回っている!(当たり前ですが)
ただ、Vベルトのテンションが低すぎて、高速回転になるとベルトが暴れてきしまっています。
今は無負荷だから、オルタネーターもくるくる回っていますが、発電回路をつなぐと激烈に重くなると思いますので、このテンションではベルトが滑って空回りしてしまうと思われます。
そこで、ローラー台がオルタネーターに近づいてこないように制限できるようにL金具を追加してみました(何個買ったんだよ・・・)
ローラー台とオルタネーターの距離を保つため、ストッパー的にL金具を追加。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
もちろん、反対側にもL金具。
SONY α7II + TAMRON 28-75mm F2.8
せっかくなので、テンションを微調整できるようにボルトで長さを変えられるようにしておきました。
で、テンション強めに設定しなおして回したのがコレ。
おぉ、かなり改善されている!
高速でもほとんど振動しないし、テンションを上げたことによる重さも特に感じません。
これならイケる気がします(^^)
この試運転だけで疲れ切ってしまった自分の脚が心配ですが・・・。
次回はいよいよ大出力発電の夢が!
とりあえず、大物工事(オルタネーター清掃、固定、Vベルト駆動)は成功しました。
あとは、電気回路を作り上げれば、夢の大出力発電所の完成のはずです。
普段は数mm単位の電子回路工作ばかりなので、やたらと太い電線や、デカイ電流を扱う装置の電気回路工作は久しぶり。
また余計なものを作り始めていますが・・・。
まずは、発電状況をリアルタイムで見られるインパネあたりから着手しましょう(^^)
つづく。