中野 明『IT全史』 – 情報技術の250年を読む

IT、特に情報通信技術の歴史本。

普通、この種の本であれば、ARPANETやJUNETなどのインターネット創世記、さかのぼっても、ベル(電話)やモールス(電信)、マルコーニ(無線)あたりかと思います。

ところが、本書は1800年代の「腕木通信」からスタートです。

まさか、こんな時代からデジタル通信が始まったとは驚きです・・・!



すごいよ、腕木通信!

腕木通信って、わかりますでしょうか?

建物の屋根に載せた木製の腕をポキポキ曲げて変形させ、その形状を読み取って次の中継所へ伝言ゲーム(ジェスチャーゲーム?)的に伝達していく通信です。

こんなクラシカルなヤツです。

こんなクラシカルなヤツです。

もちろん、目(双眼鏡)で見える範囲の数10kmまでしか届かないのですが、発祥の地であるフランスでは5700kmもの腕木通信網を構築していたとのことで、驚くばかりです。

「のろし」のような原始的ブリが感じられる腕木通信ですが、その伝送能力はかなりすごくて、音速をはるかに超える秒速1700m(時速6120km!!)、東京~大阪間相当の距離を480秒ほどで伝達できたそうです。

ひとつ前の中継所の腕木を見て、自分の中継所の腕木も同じ形にして、次の中継所に伝える。

こんな原始的な方法ですが、そのビットレートの低さを補うために、1文字ずつ伝えるのではなく、よく使う用語はあらかじめ決めた形状一発で送る(情報圧縮)ようになっていて、その符号は8000種類も定義されていたそうです。

また、暗号化やタグ、ヘッダまで用意されていて、まさに現代のデジタル通信と元祖だったようです。

す、すごい・・・

腕木通信から電信、電話、無線、ラジオ、TV、インターネットへ

冒頭のかなりのページ数を腕木通信に割いているのですが(^^;、もちろん、IT「全史」というのですから現代にいたる各種通信技術の発展を網羅的に描いています。

腕木通信から、電信、電話、無線通信、ラジオ、TV。

本書がおもしろいのは、それぞれの技術的な特徴やブレイクスルーではなく、関わった人たちがどのような未来を描いて挑戦していたのか、その目論見は当たったのかどうか、といった人間臭い点に焦点を当てているところです。

当初、電話はビジネス用に構築され、サービスの依頼や発注、為替情報の伝達などに使われることを想定していました。

しかし、実際にサービスインしてみると、人々は長々と話す「おしゃべり」に夢中になり、電話システムにおけるキラーコンテンツ(?)になり、電話会社の収益を支えることになったそうです。

現代のSNSやYouTubeに通じるものもありますね(^^)

蓄音機を発明したエジソンのエピソードも面白い。

エジソンは、蓄音機の使い道として以下のようなものを想定したそうです。

  1. 手紙や速記の代行
  2. 目が不自由な人への本
  3. 話し方教材
  4. 音楽再生
  5. 思い出や遺言の録音
  6. 玩具
  7. 時報
  8. 各種言語の保存
  9. 先生の説明を再生する教育用途
  10. 電話会話の録音機

若干ダブっているものもあるような気がしますが、それでも10種類も想定したというのだからすごいもんですなぁ(そのうち、4番目の音楽再生がヒットすることに)

性格的には色々問題もあるようですが、やっぱりすごいオジサンです。

性格的には色々問題もあるようですが、やっぱりすごいオジサンです。

どういう点に着目して成功したり、失敗したりしてきたのか、まさにITの歴史です。

まだ全部読み切っていないのですが、後半はインターネットやAIまで語られているようなので、楽しみです。

オールモノクロで地味~な本ですが、250年分のIT歴史を人間主体で取りまとめているところが面白く、また、図版(モノクロですが)が多いので読んでてあきません(^^)

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地味ですが読み応えがあります

コメント

  1. 名前:sramred 投稿日:2020/06/05(金) 21:42:19 ID:a4375eed6 返信

    昔からウィルスなどあったのでしょうか?

    • 名前:Shiro 投稿日:2020/06/05(金) 23:22:40 ID:17692dbf2 返信

      驚いたことに、元祖デジタル通信の「腕木通信」では、世界初のネットワーク犯罪も発生したそうで、そのことも詳しく書かれてます(^^;

      腕木の状態は誰でも見られるのですが、発信者・受信者間で共通暗号表を持つことで秘匿していたようで、この暗号表を盗むことで、株式相場情報を盗聴していたようです。

      さすがに、256ビット公開鍵暗号方式までは発明されいなかったようです(^^

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