上巻はセール中だったKindleで、下巻は非セールだったのでBOOK OFFで。
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太古の昔から、読もう読もうと思っていた、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』、ようやく読み始めました。
先にハラリの『サピエンス全史』を読んでしまっているので(山本太郎の『文明と感染症』も)、ちょっと新鮮味というかインパクトが弱いですが、どちらかというとこちらが本家なんですよね。元祖かな?(^^;
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』
なぜ、欧米諸国はいわゆる「新世界」(=侵略・隷属され、場所によっては地球上から消滅された民族)に対して、人口でも武器でも圧倒することができたのか。
「いやいや、経済的な豊かさだけが幸福ではないさ」というブータン的な意見もあるとは思いますが、控えめに言っても、数世紀も前に征服された民族の末裔が、現代社会の最下層で暮らすのを私たちは日常的に見ています。
本書は、その「ちがい」を生んだ謎を解明します(たぶんデス。まだ読み切ってないので・・・)
まだ上巻の80%くらいしか読んでいませんが、おそらくその趣旨としては、「新世界」に比べて欧米諸国は、以下のようなアドバンテージがあったとしています。
- 農耕を始めることができた
- 鉄や銃を発明することができた
- 感染症に対して免疫を持っていた
の3つが主な要因であり、これがそのままタイトル(=『銃・病原菌・鉄』)になっています。
これだけなら半ば常識なところもありますが、筆者はさらに「なぜ新世界より早く始められたのか」「なぜ欧州と新世界は逆にならなかったのか」という具合に、ナゼナゼを繰り返して、世界を分断した本質的な「ちがい」に迫ろうとしています。
農耕の始まりと、それが生んだ凄惨な人類史については、『サピエンス全史』でも多く語られていましたが、そのほかの鉄・銃・感染症については、あまり触れられていませんでしたので、なかなか興味深く読み進めています。
- 歴史的に、ヨーロッパ民族の主な死因は疫病。疫病さえ逃れられれば、比較的長生きできた(≒遺伝で決まる)
- 新世界での主な死因は殺人(個人、部族衝突、戦争)であり、頭がよくないと生き残れない
- にもかかわらず、(頭が悪いはずの)ヨーロッパ民族の方が様々な技術発展を遂げてきた
- ユーラシアにおける農耕の伝搬速度は速く、アメリカ・アフリカ大陸では非常に遅かった(緯度v.s.経度)
- 野生動物の家畜化も地域によって大きな差(馬を家畜化できた民族は圧倒的に戦闘有利)
- 野生植物の発芽制御機構(一気に発芽せず、ばらけることで全滅を回避)
- 野生植物→栽培植物の変化の過程(トウモロコシでは数千年もかかっているとは・・・!)
- 感染症が宿主を殺してしまうほど強毒かしてしまう理由
- 毎年、アフリカでもっともヒトを殺している動物は、カバ(500人/年)
なんてことが書かれています(本当、いろいろと幅広い・・・)
やはり、『サピエンス全史』と被る部分がありますが本書は単なる人類史ではなく、その過程で、民族間の差がこんなにまで拡大してきた理由を追いかける点が異なります。
人によって感じ方に違いはあると思いますが、南米の様々な帝国(インカやアステカとか)が、ほとんど丸腰のまま、ヨーロッパ人によって無残に殺戮の限りを尽くされて地球上から消し去られる様子は、見ていて歯がゆいものがあり、「もっと早く農業を始めなかったんだよ!アステカ!」と応援したくなってしまいます・・・(判官びいき?)
歴史にifは無いようなので、しょうがないですかねぇ・・・。
あと、最後の一つは意外でしょう?(^^)
S・レヴィット, S・ダブナーの『超ヤバい経済学』でも触れられていますが、サメに殺されるのは5人/年くらい、ゾウは200人/年で、カバは500人/年です(いずれも全世界)。
サメに殺されるとニュースになりますが(殺されなくてもニュースになる)、カバによる殺人は多すぎてニュースにならない。
不公平なもんです。もっとカバに厳罰を!(笑)
まぁ、蚊(同75万人)、ヒト(45万人)に比べたら可愛いもんですが・・・
元に戻って、『銃・病原菌・鉄』。
ようやく「感染症」(上巻の11章)まで読み進んできました。
明日からは下巻に突入できそうです。(下巻から紙本というのがしんどいですが・・・)
おまけ?
欧米=狩猟民族でアグレッシブ、日本=農耕民族で温厚、というような話を聞いたことがあるかと思います。
若い人には無いかもしれませんが、自分たち以上の年代の方だと、確実にそう認識していると思います。
農耕を他民族より早く始めたからこそ、余剰人口(狩猟採集民の10~100倍の人口を養える)を抱えることができるようになり、日々の食糧を稼ぐ人たち(=農民)以外に、職人や軍人、宗教、行政組織などが発達することになり、それこそが他民族を征服する最大の原動力。
本書では
「人類史とは、その大部分において、農耕民として力を得た「持てるもの」が、その力を「持たざるもの」や、その力を後追い的に得たものたちに対して展開してきた不平等な争いの歴史」
と言い切っています。
誰よ? 日本は農耕民族で温和とか、教えてくれたのは・・・?
ベストセラーである『FACTFULNESS』を読んで、まずはImageではなく、Factからスタートしましょう。
まぁ、どの研究・学説にも「諸説あります」がつきものなので、常にクリティカルに読む必要がありますが(^^;
40年前から見ると異様な暑さの、近年の基準で見てもかなり暑い夏が、終わろうとしています。
漁業資源としてのサンマの歴史が、ニシンに続き、終わろうとしています。
社会がコロナでフリーズして原発がフル稼働しても、どこかの大統領とか総理大臣が変わろうとも焼け石に水。
森林、土壌、漁業資源の枯渇がイースター島を滅亡させたのと全く同じに地球全体に広がるとすれば、人類は一体何を学んできたのか?
ジャレド・ダイヤモンド博士と鎌倉アナの対談は全く徒労に終わってしまうのか?(←本日も放送中)
···と考えるのも面倒になったので、今週中に「昨日までの世界」を読んで、終末ではない週末のブルベ300に備えることにします···ふぅぅ···