久しぶりに,浅田次郎を読みました。(もちろん,本ね)
浅田次郎は,あんまり続けて読むと,「泣かせどころ」がなんとなく読めてきちゃう(それでも泣けちゃうんだけど…)ので,たまに読むのがよいです。
この前読んだのは,自身の自伝的な色合いの濃い小説「霞町物語」でしたが,やっぱり,泣けてしまいました。粋なおばあさんと,写真館のおじいさんの話はとってもよかったです。
んで,今回はこの世の果てのような港町の,それまた果てのような場所に建つ,おんぼろアパートに住んでいた6人の住人達を主人公にした連作です。
彼らは,世間様が考える「幸せ」とはほど遠い生き方をしながらも,誠実に,そして幸せな人生を全うしていきます。
霧笛荘には,社会で行き場を失った様々な人たちが最後にたどり着きます。
やくざになり損ねた半端者や,夢を失ったミュージシャン,おなべ,,などなど。僕が一番好きだったのは,ミュージシャンの話かなぁ。
北海道から家を飛び出して来た少年。そんな弟を愛し,守ろうとする姉。兄弟は貧乏な家に生まれ,姉は生まれつき足が不自由。弟は仲間とバンドをやるために上京するが,他のメンバーはさっさと別の職業に就いてしまう。
姉に助けてもらって家を捨てただけに,故郷に帰るわけにも行かず,夢をあきらめかけていた矢先に…。
兄弟の北海道なまりの会話が,「ぽっぽや」の様に涙を誘います。
おいらの実家では,こうした,「北海道」(または東北)というキーワードは,もう,それだけで涙の話になってしまいます。「北の国から」とか・・・
親父は北海道生まれ,イモオトは青森,おいらは東京生まれだけど岩手,青森,釧路にも住んだことがあり,やっぱり,北の人たちが登場する話には弱いです。
「霧笛荘夜話」は万人にお勧めできる小説ではないのかもしれませんが,僕としてはとても楽しむことができました。
人の幸せ,生きる誠実さ,人としてするべきこと,してはいけないことってなんだろう,と思いを巡らしつつ,そろそろ寝ようかな・・・
冒頭で,続けて読むといかん,と自分で書いておきながら,今度は万人が涙したらしい「天国まで100マイル」を読む予定です。