吉田修一 『東京湾景』,読み終わりました。
友人の薦めで,久しぶりに恋愛小説を読んでしまった。
量が多いかと思ったんですが,通勤電車のみで一週間で読破できました。
そして,いま,ため息をついています。「はぁ……」
まず,小説として,小さな話が積み上がった小説ですが,それぞれの話のつながりが,すこし弱いかな?という気はします。
ん?と思ったのはそれだけ。
物語はとてもおもしろかったし,もどかしかったし,考えさせられるものでした。
人が人を好きになっても,本当に理解し合うことの難しさや,そのために自分をさらけ出すことへの怖さ。そういったことを痛感させられます。と,同時に我が身を振り返り,「よく結婚なんて,恐ろしいことをしなたなぁ……」と感心します。
つきあうだけで,こんなに大変なのに,結婚ですよ,結婚。
ぼくらは,1月に出会って,3月にはもう結婚の話をしてました。いま思うと,あの猛烈な勢いはいったい何だったんだろう?
周りの人に,「なんで急に結婚したの?」とか,独身の男に「結婚する秘訣は?」とか聞かれたけど,そんなのこっちが知りたいくらい。とにかく,あっという間に結婚していました。運命?ですかいなぁ。
あと,このドラマでは,東京湾を挟んだ品川埠頭とお台場にそれぞれが職場を持っていて,相手を想って海の向こうを見つめたりするシーンがあります。
僕らがつきあい始めた頃,奥さまは新宿の高層ビルで働いていました。そして,僕は遠く離れた足立区勤務。でも,仕事が終わって荒川の土手を自転車で帰るとき,遠くに新宿の明かりが見え,「まだがんばって働いてるんだろうなぁ~。がんばれよ。(おれは寝るけど)」なんて思いながら帰ったものでした。
この小説とは異なり,携帯もメールも,もちろん出会系サイトも無かった7年前,よく,本当に結婚できたなぁ,とあらためて感心するのでありました。
※写真は,この前の日曜日に撮った東京湾。みんながトイレ,トイレと騒ぎ,滞在時間1分。撮影枚数1枚(これだけ)という寂しさ。もっと撮っていたかったなぁ…。