小さいプラケースに収めるため3層構造にしてみました。
(パワー回路・マイコン・液晶画面)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
長~らく更新が停まっておりましたが、この間、ずっと「格安足元ヒーター制御装置」の製品化(?)にいそしんでおりました。
先週までに、簡単な試作品はブレッドボード(実験用基板)上で出来ていたのですが、実際に、基板に配置して箱に収めたりするのは意外と大変で、1週間もかかってしまいました。
もともとソフト屋なので、ハードな工作は難しいですなぁ・・・。
(おさらい)格安足元ヒーター制御装置とは?
我が家にある、格安足元ヒーター(150W)。
机の下などに置いて、足元空間を温めるためのヒーターですが、火力が弱いのでいっそのこと足を直接置けるといいのですが、弱いとは言え150℃くらいになるため、さすがに足の直置きは熱すぎ。
そこで、火力調節の無い格安ヒーターを、ちょうどいい温度に調節するための装置を作ることにしたびです。
- お好みの温度をダイヤルで設定する
- 温度センサーでヒーター表面の温度を取り込む
- PID制御で設定温度になるよう目標パワーを求める
- 目標パワーに合うように、PWM的にこまめにヒーターON/OFFを行う
- 自動オフタイマー(分単位)もあり
といった機能を予定していて、実験用基板レベルでは成功していました。
実験用基板では様々な配線が剥き出し(100V系だけは怖いのでレゴブロックで作った箱に入れてました)なので、普通の家電製品のように、ちゃんとした箱に収めることにしました。
試作段階の様子。AC100V回路は怖いので、レゴブロックで作った箱に格納しています(^^;
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
適当ですが、今回の回路図。この通り作れば、簡単に完成・・・なんですが。
製品化(っていうか箱入れ)してみよう!
試作品→製品化(笑)に当たって追加必要なのは、以下の物品&作業。
- 電源スイッチ(おおもとのAC回路を両極ON/OFF)
- 電源ONでOS起動&プログラム自動実行
- ラズパイ用のDC5V電源
- 動作状況確認用LED
- 自動オフタイマー設定用ロータリーエンコーダ
- タイマー0でプログラム&OSのShutdown
- 箱の加工
いろいろ書いている割には、一番大変だったのが、「箱の加工」。
電子工作ではアルミケースが定番ですが、今回は、温度や時間の表示用に液晶画面を使ったので、外からも簡単に見られるよう、透明のアクリルケースにしてみました。
しかし、これがいけなかった・・・。
丸型の穴(ボリュームやコネクタ)はまだしも、電源プラグ(入・出)やスイッチのための四角い穴を作るのがものすごく大変(!)
小さ目のドリルで何十もの穴を並べて開けて、大雑把な形をくりぬき、そこからはひたすらヤスリ掛け。
ものすごい音(キーキー)と粉塵をまき散らしながら延々と作業することに。
出来上がりイマイチだし、素直にアルミケースにすればよかったです・・・。
小さなドリルで穴をたくさんあけます。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
穴を繋げて大きな穴に。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
延々とやすり掛け人生。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
現物合わせで微調整。面倒くさいこと、この上なし・・。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
ようやく、主要部品の置き場が決まりました。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
作成途中の基板配線。少しリード線が太かったかなぁ・・・。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
もう一つ、苦労したのは部品間の配線。
細かい電子部品は1枚のユニバーサル基板上に実装したので問題ないのですが、スイッチ・ボリューム・エンコーダ・電源ユニット・プラグなど、基板と各部品間を結ぶ配線には悩ました。
適当な順番で結線を始めると、かなり小さ目のケースに入れようとしたため、最後の方はハンダ付け作業をやるスペースがなくなり、にっちもさっちもいかなくなります。
この調子で配線・ハンダ付けしていくと、最後の方はきつくてどうにもならない。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
そこで、ハンダ付けによる直結配線はやめて、大部分をコネクタ(2250やターミナルブロック)で繋ぐように変更。これなら、終盤の接続もコネクタで差し込んでケースに押し込めます。
また、過剰なまでに太かったAC周りの配線(AWG18相当)を1ランク細くしました(AWG20相当)。
さらに、作業途中で液晶画面を割ってしまって号泣(480円ですが)。
ハンダ配線はやめて、ターミナルブロックを使うようにしました(AC回路。DCの方は2250で)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
色々やっているうちに、液晶画面のガラスを割ってしまいました(涙)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
無駄にバックライト付きの超高級品(820円ですが、笑)に交換したところ、バックライト分だけ全体の厚みが増してケースに入らなくなるトラブルも・・・。
マイコン(2層目)と各層を結ぶピンヘッダの長さを調整(40箇所ハンダ・・・)しなおし、なんとか、ケースに収まる高さになりました。いやはや。
ケースにギリギリ入れるよう、3層構造の高さを詰めました。(下の隙間はヒューズが通る予定)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
また、ラズパイ自体の電源はUSBでの電源供給はやめて、自力電源で動くようにしたいところ。
最初はAppleの小型アダプタでもばらして使おうかと思いましたが、それでもデカくて入らないので、中国製のチト怪しげな電源パーツを購入しました。
ちゃんと動くかチト疑わしかったのですが、いざ試してみると、ちゃんと直流で5.1Vも出てくれたので一安心。
ラズパイは電源電圧にシビアで、ほんの少しでも5Vを下回るとフリーズやリセットがかかったりしてしまいますので、5.1Vはありがたいところです(^^)
左が怪しげな(?)電源パーツ。右はAppleのヤツ。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
ドキドキしながら、AC/DCアダプタ起動。 おぉ、無事に5.1V出てくれている!!
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
それでも完成!
試作品で動作確認できてから、箱に入れるだけで1週間、ようやく完成しました。
テスターで短絡・地絡・混触なしを入念に確認して、恐る恐る電源スイッチを入れると・・・
おぉぉ、ちゃんと稼働した!! 液晶眩しすぎる・・・。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
無事にラズパイのOSが立ち上がり、さらにお手製ヒーター制御プログラムが起動すると、液晶のバックライトが点灯し、温度制御が始まりました!!
左のボリュームで目標温度を設定し、右のダイヤルでは自動オフ時間を調節でき、どちらも液晶画面にちゃんと表示されます。
この後は、涙で前が見えませんでしたが(うそ)、試作品時と同様、目標温度に対して±0.5℃程度の精度で正確に格安ヒーターを制御してくれました。
試作品から完成品までの作業を振り返ってみての課題は、
- アクリルケースはアカン
- 加工が大変なことに加え、ACプラグ抜き差し時の力に耐えられずに壊れそうです。やっぱり、電子工作はアルミケースの方がいいと思います。
- ラズパイをケチり過ぎた
- メインのコンピュータとして最小機能のRaspberry Pi Zero(600円)を選んだのですが、Wi-Fiが無いので、外部からログインして制御データを見たりすることができない(USB端子にWi-Fiドングルを付ける必要がある)。WiFi付きのZero W(1300円)にしておけばよかった・・・
- 部品間接続はコネクタで
- なんでもハンダ付けはアカン。今風にターミナルやコネクタで接続しましょう。
苦労して押し込んだだけあって、かなり小型でいい感じです(^^)
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
ケースは小さくていいのですが、やはりあまりにも脆そうなので、そのうち、アルミケースに入れ替えようかなぁと思っています。
また、今回の「超高性能 格安足元ヒーター制御装置」(←名前変わってる)に使った部品・お値段は以下の通りです。
種類 | 部品 | お値段(円) |
---|---|---|
コンピュータ | Raspberry Pi Zero | 600 |
液晶画面 | 8×2行、バックライト | 820 |
DC電源 | チャイナ製怪しげ | 280 |
SSR | 秋月電子キット | 660 |
AD変換IC | MCP3208 | 300 |
電源スイッチ | 2回路 | 220 |
ヒューズ・ホルダ | 3A | 140 |
温度センサ | DB18B20 | 200 |
ロータリーエンコーダ | 24クリック | 80 |
可変抵抗器 | 10kΩ | 40 |
ボリューム | つまみ | 160 |
LED | 赤色 | 20 |
抵抗 | 330Ω,5kΩなど | 10 |
ヒートシンク | SSR用 | 80 |
ACインレット | 90 | |
ACアウトレット | 120 | |
ターミナルブロック | 3端子 | 80 |
2250コネクタ | 多数 | 100 |
ピンヘッダ | 40ピン | 150 |
ステレオジャック | 温度センサ接続用 | 130 |
ステレオコネクタ | 温度センサ接続用 | 120 |
プラケース | ここで失敗? | 130 |
ゴム足 | 4個 | 40 |
これらのパーツ代を全部合算すると、4,570円(税込み)。
3,000円のヒーターに4,570円の制御装置を搭載するのが妥当なのかどうか、微妙なところではありますが(笑)、2週間にわたって十分楽しむことができましたので、良しとしましょう(^^)
まだまだ腰の状況は非常に悪く、自転車はかなり難しい感じです。
このままでは、電子工作日記ブログになってしまいそうですが、そろそろ、ローラーだけでも再開できるよう、少しずつ体を動かしていこう!(今は指先だけだ・・・)
楽しくてやりたい放題。ちなみに、ここは仕事机であり、寝室でもある。
SONY α7II + FE 90mm F2.8 MACRO G
いつも楽しく、ためになる記事を拝見させてもらっています。
自分は自転車 x ハード屋で人生を過ごした還暦おやじですが、なんだかShiroさんと似てるような気がします。
私事ですが、先日ジテツウ帰りに不注意で縁石に乗り上げ吹っ飛びまして、あちこち痛めております^^;側頭部をアスファルトに強打しましたが、ヘルメットに助けられて良かったです。
で、最近は自転車のライトまわりの電装系の装置を開発中です。もちろん趣味です。
マイコン使えば楽ですけど、消費電力の問題が出るので純ハードで構成です^o^
プライベートはLinuxパソコンですが、KiCADで回路, LibreCADで構造設計、CircuitViewerで回路シミュレーションしつつ、ブレッドボードで確認しながら進めております。
お互いに頑張りましょうね〜\^o^/