去年と同じマウントに見えますが、超機能アップです!(^^)
SONY α7S + TAMRON 28-75mm F2.8
今年で12回目の参加になる富士ヒルクライム(FHC)で、自分にとって最大の課題は「車載動画がゴール直前で途絶えてしまう」ということです(それ以外にもあるような気がするが・・・)
車載動画は5回目あたりからやっているのですが、ゴールまでちゃんと撮れたのことはほとんどありません・・・。
体力増強やライディングテクニックの向上はさておき、この「車載動画最後まで撮れない問題」を解決すべく、フォトポタ電子工作研究所が総力を挙げて取り組んでみました。
最後まで撮れない原因
車載動画がゴールまで撮れない原因は、ずばり、愛用カメラのSONY HDR-AS200Vの電池がショボイからです。
過去記事にもあるように、SONYのアクションカムシリーズにはたくさん課題がありますが、電池の持ちが非常に悪いのもウィークポイントの一つです。
この純正バッテリーが極小、1240mAhしかないんです・・・。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
自分の条件(純正バッテリー、60P、手ブレ補正無し、妻子・ローン持ち)だと、連続撮影80分チョットが限界なので、自己ベスト(82分)でギリギリ撮影できるかどうか、というヘタレ具合です(電池がね)。
いっそ、自分がシルバー(75分)で走り切ればいいのですが、とてもじゃないけど無理なので、ハードウェアの方を改良することにしたのでした。
録画時間延長対策を考えよう!
バッテリー容量がショボイのが原因なので、対策の方向性はバッテリー容量を増やすこと。
今回試してみたのは以下の4方法です。
- 純正より大きな容量のバッテリーを探す
- 普通のモバイルバッテリーで給電する
- USBポート付きリチウムイオンバッテリー(18650)で給電する
- 普通のリチウムイオンバッテリー(18650)で給電する
【案1】純正より大きな容量のバッテリー
Amazonなどで探せば見つかるのですが、せいぜい、100mAh増しの1350mAh程度です。
わずか8%増では、今の自分のゴールタイムでは難しそう。
そもそもサイズが小さすぎるから、やっぱり限界なんだよなぁ・・・。
たくさん持っている(たぶん10個くらい)ので、走りながら交換できればいいのだけど…(無理)
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
【案2】普通のモバイルバッテリーで給電する
AS200VはUSB(micro B)ポートがあって、ボディ内でバッテリーを充電します。
で、試してみたら以下のことがわかりました。
- USBで充電しながらでも録画できる
- いっそバッテリーなしでUSBだけでも録画できる
給電しながら録画できるのは◎。電池を外しても大丈夫です。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
なので、5000mAhとかのデカイモバイルバッテリーをつなげば、余裕で5合目まで上って下れるくらい持ちそうです。
・・・が、四角いモバイルバッテリーを搭載するとなると、見た目が悪い上にかなりの重量増加になるため、これも廃案です。
たくさんあるので付ければいいのですが、重い&格好悪い。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
【案3】USBポート付きリチウムイオンバッテリーで給電する
モバイルバッテリーやLEDライトには、平たいリチウムポリマー電池のほか、普通の単三電池より少し大きめの「18650」というサイズ(直径18mm×高さ65mm)のリチウムイオンバッテリー(LiB)が良く使われています。
この単電池を使ってAS200VのUSBポートに5V供給してあげたいのですが、LiBの公称電圧は3.7Vで電圧が低するため、別途、DC/DC昇圧コンバータが必要になってしまいます。
しか~し、18650サイズのLiBに充放電用のUSBポートを内蔵する、かなりイカれた仕様の電池がOHM電気から製品化されています(2600mAh版と3400mAh版があります。もちろん両方購入)。
電池の脇腹にUSB type Cポートが付いています(!)
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
こうやってつなげば、かなりコンパクトに構成できます。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
この怪しいLiBを、去年作ったAS200Vマウントの軸の部分に内蔵すれば望みは叶いそうなので、とりあえずモデリングしてみました。
普通の電池としても使えのるが特徴ですが、その反面、USB出力ポートは電池の横腹から出さざるを得なくなっています。
そのため、マウントの軸を長くしてそこにLiBを内蔵して、横からUSBケーブルを引っ張り出すことで給電するスタイルになりました。
とりあえず作ってみました。赤い部分にOHM電池が内蔵されています。
こちらで全く問題なく動作してくれましたが、必要以上にマウント軸が長くなってしまい、なんとも不格好だし不安定な気がします。
LOOK号のヘッドチューブ(HEAD-FIT)は普通のアヘッドシステムとは異なり、トップキャップは単なる飾りなので、外しても問題ありません。
せっかくなので?、巨大なヘッドチューブ内の空間にバッテリーを内蔵できないか、案4の検討に進みます。
【案4】普通の18650リチウムイオン+昇圧コンバータを内蔵する
案3でほぼ完成できているのですが、やっぱり、せっかくのヘッドチューブ内の空間を使ってみたくて、再度設計をし直してみました。
OHMのLiBは横向きにしかUSBを出せないのであきらめて、以下の方針で再設計です。
- 普通の18650リチウムイオン(3400mAh)を使う
- 18650Libはヘッドチューブに内蔵する
- 3.7→5.0Vの昇圧コンバータも内蔵する
課題としては、HEAD-FITヘッドチューブの内径は実測20.5mmなので、18650(直径18mm)を入れようとすると余裕は2mm程度しかなく、バッテリーケースは1mm厚で設計する必要があり、3Dプリンタで作るプラ部品としては強度面がしんどいです。
そこで、LiBは18650サイズの保護回路付きを選びます。
もちろん、安全面からも保護回路は必須ですが、一般的な18650の保護回路は電池の下部に薄っぺらい回路(2mm厚くらい)がくっついていて、ここにプラス・マイナスともに配線されています。
ここから配線を引き出せば、ただでさえ狭いヘッドチューブ内で自分で配線する必要がなくなるメリットがあります。
そして、DC/DC昇圧コンバータはマウントの内部にちょっとした空間を作ってやって、そこに内蔵してやることにしました。
上が普通のLiB。黒い部分が保護回路です。(下は OHM電池)
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
18650電池を入れてみる。ほとんど隙間がない・・・。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
保護回路内から配線を引き出せば、余裕のない側面に配線する必要がありません。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
電池はコラム内、コンバータはカメラ直下に内蔵。
設計で気を付けたことをまとめると、
- バッテリーカバーはヘッドチューブ内径より0.2mmほど細く作り、応力がかからないようにする
- その上部はヘッドチューブにがっちり嵌めるため、外径をジャストサイズ(きつめ)、壁は厚めに設計する
- 出力はマウントの後部から直接引き出す
- 充電はカメラを外して上部からできるようにUSBポートをつける(microB)
- カメラケースは熱暴走対策で通気性を向上
バッテリー部分と差し込み部分で微妙に段差が付く、バテッド構造になっています(0.5mm程度なので見えないですが・・・)
断面図。電池を苦労して入れているのがわかりますでしょうか。微妙に外径も0.5mmほど小さいのです。
また、5は予想外のトラブルで、カメラケースに装着した状態で30分くらい撮影していたら、AS200Vの内部温度が上昇したようで、「HOT」という文字が出て録画終了してしまいました。
富士ヒル当日は寒さとの戦いなので大丈夫だとは思うのですが、念のため、冷却を考慮してスカスカな構造にしてみました。
予想以上に無い知恵を絞ることになりましたが、試作3回目くらいで無事に完成しました!
放熱用に大量のスリットを増設。
完成! なんか、自撮り棒みたいだけど・・・。
SONY α7S + FE 90mm F2.8 MACRO G
左から去年版、案4(18650)、案3(OHM電池)。案4はフレーム内にグ~ンと伸びてます。
SONY α7S + TAMRON 28-75mm F2.8
こうやって充電します。なんか、シュールですが・・・。
SONY α7S + TAMRON 28-75mm F2.8
無事に長時間録画成功!(^^)
懸念された、薄すぎるバッテリーケースですが、ヘッドチューブとクリアランス(0.5mm)を設けたことによって応力はかからず、大丈夫そうです。
また、その上部でがっちりとヘッドチューブに固定されているので、ヤビツの激しいダウンヒルでもびくともしません。
おぉ、無事に起動! まさか、ヘッドチューブにバッテリー内蔵とは思うまい・・・(^^)
SONY DSC-RX100m3 + Zeiss Vario Sonnar T* 8.8-25.7mm F1.8-2.8
本当はあと5mmほど押し込めるのですが、抜けなくなりそうでこの辺でやめてます。
SONY DSC-RX100m3 + Zeiss Vario Sonnar T* 8.8-25.7mm F1.8-2.8
ヤビツダウンヒル中。ゴムバンドなくても大丈夫だけど、本番は装着しよう。
SONY Xperia 10 III
肝心な録画時間の方は、電池容量が純正の3倍もあるだけあって、余裕で2時間以上録画できています(ヤビツ登って下ってもまだ平気♪)
念のため、ヘッドチューブ~マウント、マウント~カメラ間をそれぞれゴムバンドで固定できるようにしていますが、なくても全く問題ないくらい頑丈です。
よく見ると根本にもフックがあります(芸が細かい)
Autodesk Fusion 360
ヤビツ3回やってもビクともしませんが、富士ヒル当日は念には念を入れて、ゴムバンドをつけておきましょう。
(過去には某純正マウントが大破したこともありましたし↓)
いろいろと無駄に試行錯誤しましたが、満足のいく製品?になりました(^^)
おそらく今年唯一の秘密兵器となる、AS200Vバッテリー対策の紹介はこれにて終了です~。
あとは体力向上&ダイエットだけだな(どちらもできてないけど・・・)
【おまけ】いろいろ試したブツ。右下のコンバータ(5個1000円)を採用しています。
SONY α7S + TAMRON 28-75mm F2.8
Shiroさん:
いよいよ来週末ですね。
さて3Dプリンターを駆使しての自作カメラマウント、スゴイです!
強度は大丈夫そうですね、今年も健闘を祈っています。