会社帰りにふと寄った書店で一目ぼれ。
ここ半年くらい,自転車よりもカメラ・写真関係の本ばかり読んでいたのですが,冒頭の2ページほど立ち読みして感動して速購入。
まだ読み始めたばかりですが,本当のプロが書いたもののすごさに感動しています。
どこかの,妻子&ローン持ち45歳が綴る「○○日記」とは格が違うなぁ(当たり前だよ,笑)
冒頭のページで,アシストとして生きていく,そのレースの様子が描かれています。
僕は450Wのパワーでペダルを踏んでいた。速度は時速60km近い。全開。脚がちぎれそうだ。僕の周りには200人のレーサーたちがいて,小柄な僕を肘で弾き飛ばそうとする。
けれど,僕の後ろにはチームメイトたちのトレインがある。僕は彼らの風よけになって,皆の体力の消耗を防ぐ。それが僕たちアシストの仕事だ。そして,トレインの最後尾には絶対に勝てるエース,ジョン・デゲンコルブがいる。最高のタイミングで,彼を限界まで加速したトレインから解き放つ。彼は1500W近いパワーでゴールに向かって突進(スプリント)する。
「右!もっと右だ!」後ろから僕に指示が飛ぶ。聞きなれたジョンの声。指示通りにラインを修正し,前に上がっていく。
チームメイトたちとジョンをプロトンの先頭に引き上げた時,限界が来た。トレインの先頭をチームメイトに譲り,踏むのをやめる。やがて僕は,歓声と共に聞こえる無線で,ジョンがまた勝ったことを知った。攣った脚をなだめつつ,ガッツポーズをする。
僕たちの勝利だ。
【本文p7-8 僕の「仕事」】
なんという強さ,格好良さ!
かっこうえぇ~
また,高校生のころに全日本選手権ジュニアで優勝したときの自分と,29歳で全日本で優勝したときの自分についてはこんな風に。
ゴールの向こうにいたおとんとハイタッチをした。おかんは泣いていた。こういうとき,おかんはいつも泣く。でも僕は,自分が勝ったことの嬉しさばかりでおかんに気持ちが向かなかった。食事の管理から,レースの準備までをやってくれたおかんにお礼はできなかった。
ちょっと申し訳ない気持ちもある。
その12年後,大人の全日本選手権で勝って正真正銘の日本一になれた時も,やっぱりおかんは泣いてしまった。でも,そのときの僕はもう17歳の少年ではなかった。僕は泣きやまないおかんの首にメダルを掛けた。
たぶん,成長するというのはこういうことだ。
単に強くなるだけじゃない。
【本文p22-23,全日本選手権ジュニア】
最後の3行で目頭が熱くなってしまいました。
おいらも,おかんの首にFHCのメダルを掛けてあげたいです(無理)。
GW,寝不足になりそうだ~。
読後の感想文は,いつもの「月間読書記録」でまた(^^)