緩やかなアーチに「K」のロゴマーク。無駄に(?)美しいアーチのK-Edgeです。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
既に一部のご愛読者の方からは指摘されているのですが,実は,半年ほど前から,フロントチェーンリングの脱落防止装置(以下,面倒なので「脱落防止グッズ」と呼びます)を新調していました。
LOOK号の組み立て完成からずっとお世話になっていた『チェーンフォールプロテクタ』を取り外し,AceCo社の『K-Edge チェーンキャッチャー』に換えたのでした。
交換からまもなく半年を過ぎるということで,いつものように,独断と主観に満ちた(^^;)インプレを紹介することにしました。
気に入った点
- 金属製のチェーン落下防止パーツ
- 脱落防止性能は十分(数千km走っているけど落下ゼロ)
- 見た目がスッキリ
イマイチな点
- ちょいと重い(気分の問題)
- FDと共締め固定なので,ちょっと作業が難しい
フロントのチェーン脱落とは?
スポーツバイクに乗ったことがある方なら,最低1回は経験していると思われますが(最初からDi2とかいう大富豪は別),リアに比べて,フロント変速はわりと簡単にチェーンリングからチェーンが脱落します。
外側への脱落は,FDの調整がちゃんとできていれば基本的には発生しません(おいらは,結構な回数,やっちゃっていますが・・・)
一方,内側への脱落は,調整を正確にやっていても,変速操作のやり方しだいで簡単に脱落してしまうことがあります。
外側に脱落すると,こんな風になります・・・(LGS RHC号)
RICOH GX100
ここで,フロントチェーンリングで内側脱落事故が発生しやすい状況をおさらいしておきましょう。
今,平地を気持ちよく,フロントアウター×リア5速くらいで走っているとします。
前方に,ちょっとした丘が近づいてきました。
アウターでギリギリ上りきれるような勾配に見えます。
そこで,丘が近づくにつれて5→4→3→2と変速します。しかし,坂は思ったよりもきつくて,あまりオススメではないギア,「アウター×1速」まで使ってしまいましたが,まだ重くてつらい状態。
ここからどうするか? そこが,「内側にチェーンを脱落させてしまう人」と「脱落させない人」の分かれ道です。
【パターン1】気を使わず,フロントをインナーに切り替える人
登坂のトルクをかけたまま,「アウター×1速」から「インナー×1速」に切り替えようとすると,かなりの率で,フロントがインナーの内側に脱落します。
「アウター×1速」の状態では,チェーンラインはかなり斜めになっていて,チェーンリングには内側方向への力が働いています。ここで,FDが内側に誘導しようとするので,調子に乗ったチェーンは勢いあまって,インナーのさらに内側までいってしまうという現象です。
初期の頃,LGS SIX号では何度もやってしまいました。
内側に落ちた場合,運が良ければBB付近で止まってくれるのですが,最悪の場合,チェーンをいためたり,フレームをゴリゴリこすってしまう場合があります。
LGS SIX号ではDURA-ACEチェーンを1本駄目にして,LGS RHC号でも何度も脱落させ,LOOK号では一度だけ内側脱落をやってしまい,カーボン繊維が解れてしまうという,悲劇につながりました・・・。
LGS RHC号では日常茶飯事でした。ヘタだよなぁ~(笑)
RICOH GX100
【パターン2】気を使って,フロントをインナーに切り替える人
これには2つのコツがあります。
ひとつは,「アウター×1速」から「アウター×3速」くらいに一度重くして,すぐにフロントをインナーに変速するのです。
こうすれば,チェーンラインは極端な斜め状態ではありませんから,インナーの内側に脱落する可能性はグッと減ります(というか,調整がちゃんとできていれば,まず落ちない)。
もうひとつは,まぁ,常識ではありますが,アウターからインナーに変速する際に,少しだけ脚のトルクを抜いてあげる優しさを持つことです。
いくら,シマノの変速コンポの性能が向上したとは言っても,チェーンにトルクが掛かっている状態よりも,掛かっていない状態の方が変速はしやすくなります。
ただ,このどちらのコツも,急な坂道を登坂中には難しいという難点があります。なんせ,自転車に乗っていて,一番トルクがかかるようなシチュエーションで,「ギアを重くしろ」とか「トルクを抜け」と言われても,それができたら苦労しませんです。
【パターン3】脱落防止グッズを使う人(おいら)
ようやく,おまちかね(?),チェーン脱落防止グッズの出番です。
名前の通り,チェーンの脱落を防止するためのグッズなのですが,完成車にはまずついていない,マニアックな(?)グッズなのです。
各社から,
- チェーンウォッチャー
- チェーンキーパー
- チェーンフォールプロテクター
- チェーンドロップキャッチャー
など,さまざまな商品名で出ていますが,どれも,基本的な原理は同じです。
アウターからインナーにチェーンが落ちてくるとき,勢い余って,インナーも越えてフレーム側まで乗り越えていってしまうのが脱落事故です。
ですので,こららの脱落防止グッズは,インナーリングのすぐ横に突起や棒を突き出し,チェーンが内側に落ちそうになったら,そこで押し返してしまおうという,非常に簡単な原理・構造のグッズなのです。
原理・構造はとても簡単ですが,チェーンの脱落防止には絶大な効果があり,2010年のアンディ・シュレクも,このグッズさえ付けていれば,ひょっとすれば総合優勝もあったかもしれません(個人TTでだめか・・・)。
K-Edge登場!!
いよいよ,Shiro家第2世代脱落防止グッズ,『K-Edge チェーンキャッチャー』の紹介です。
依然使っていた『チェーンフォールプロテクター』はシートチューブにバンドで固定し,指先のように出っ張った部分を,インナーリングに向けることでチェーンが落ちてくるのを防止するものでした。
これが,『チェーンフォールプロテクター』。指で押さえるようなデザインです(^^)
Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8
お値段は非常にお安い(290円)し,オールプラなのでかなり軽量(9g)なのですが,設計が古いせいか,適合シートチューブの径が最大で34.9mmしかないのが難点です。
LOOK号は最近のカーボンフレームに比べれば,まだ細い方ですが,それでも34.9mmなんてものではないですから,今までは,タイラップを継ぎ足してなんとか固定していました。
この固定方があまり見栄えが良いものではないので,以前から気になっていた,K-Edgeに変更したのです。
K-Edgeは,簡単に言ってしまえば,「アルミ製の細長い棒」です。
これを,FDとボルトで共締めして取り付けると,インナーリングの横に「脱落防止ガイド」といった感じで突き出します。
同梱されているのはこれだけ。本体と,取付ボルト,座金です。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
重量はボルト込みで16gです。ちょい重?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
途中で平ぺったくなったり,アーチ状になっていたりしますが,この形状が肝のようで,パッケージには「PATENT PENDING」となっていました(まぁ,申請だけなら誰でもできるのですが・・・)。
一応,特許出願中とのこと。こんなで取れるのかな・・・?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
取付&調整編
取付はとても簡単なのですが,その後の調整は結構難しいです。
まず,FDを取り外し,K-EdgeとFDをひとつのボルトで共締め固定します。
ここから調整になるのですが,まず,FDをシマノの取説どおり,正しい向きに取り付ける必要があります(進行方向真っ直ぐ,高さはアウターギアの上1mm程度)。
それと同時に,K-Edgeの方も,インナーリングのすぐ横に張り出すように調整しなければなりません。
あちらを立てれば,こちらが立たず。なんども,固定したり緩めたりを繰り返してベストポジションを探し出す必要があります。
FDの調整まで含めると,結局,2時間くらいかかってしまいました。
取付自体は簡単ですが,位置の微調整がとても面倒くさい~
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
これは,ちょっと隙間が開きすぎ。もう少し詰めたほうがいいです(1mm程度?)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
あ,忘れていました。
K-Edgeは無駄に(?)表面が美しく加工・塗装されているので,チェーンで傷を付けてしまわないよう,いつもの表面保護テープを巻いて保護しておきました(^^)
こんなパーツも,テープで保護してたり(^^)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
使用編&まとめ
実に快適です(^^)
取付から約半年,1300kmほど走っていますが,もちろん,チェーン脱落は一度も発生していません。
緩急の変化が大きいヤビツ等では,序盤にアウター・インナーを何度か切り替えますが,かなりトルクをかけた状態,チェーンラインが斜めになっていても,一度も脱落しませんでした。
どんな状況でフロント変速しても脱落しない,スーパーチューンがされている,というわけではなく(そんな技術は持ってないです。笑),K-Edgeを見るとちゃんと汚れているので,K-Edgeが脱落防止のために踏ん張ってくれているおかげです。
ちゃんと(?)汚れているK-Edge。要所でがんばってくれている証拠です(^^)
Nikon D90 + SIGMA 50mm MACRO F2.8
また,表面保護テープのおかげで,K-Edge本体には傷は付いていないようです。
半年使ってみて,改善されたかな?というのは下記の2点です。
- 脱落防止性能は十分(^^)
- 前述の通り,今のところ,十分な脱落防止性能を発揮してくれています。
- BB周りがすっきりした
- 以前は,チェーンフォールプロテクターを使っていたため,BB付近がゴチャゴチャしていて,海辺を走ると砂がたまってしまったりしていました。K-EdgeはFDと共締めなので,BB周りがすっきりしました(^^)
こんな感じで取り付けているので,海辺を走ると隙間に砂がたまります。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
K-Edgeの場合はこう。ちょっとスッキリしました(^^)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
- 「ちゃんと付けてますよ」感がUP
- なんじゃそりゃ? ですが,チェーンフォールプロテクタは正しくはビス固定なのですが,サイズオーバーのシートチューブのため,タイラップで強引に固定していました。K-Edgeは正規の方法で取り付けているので,なんとなくですが,安心感があります(^^)
一方,イマイチかもというのは
- 見栄えは・・・どうだろう?
- チェーンフォールプロテクタはBB付近,インナーリングに隠れるような位置に取り付けるため,普通に写真に撮っても写らないし,縁の下の力持ち的存在でした。一方,K-EdgeはFDの位置にありますから,少し目立ちます。いっそのこと,「赤」や「青」にして,アクセントにしたほうが良かったかもしれません。
- ちょいと重いのよねぇ
- これは気分の問題(笑) チェーンフォールプロテクタはわずか9gでしたが,K-Edgeは16gほど。別にどうでもいい数字なのですが,な~んか気になるなぁ~。お値段は10倍もするのにな~(笑)
というわけで,ま,特に大満足!というわけでもなく,金返せ!というほど不満があるわけでもない。
こんだけ長々書いておきながらなんですが,チェーンフォールプロテクタとK-Edgeのどちらにするかでお悩みの場合は,「どっちを選んでも効果に差は無し。気分でお選びください」というのが,本記事の結論です。
いつもながら,ここまでお付き合いいただき,ありがとうございました~(^^)
>舟さん
こんばんは~
そう、このキャッチャー、高いですよねぇ。
PATENTを取る自信があるのか、ただ単にパイが小さいだけなのか・・・。
おいらがこれを買ったのは、カーボンホイールのMV32T
を買ったときにどさくさで仕入れました。
円高のおかげで日本よりは断然安いですが、
それでも、2~3,000円くらいしたかも。
アルミの棒なのに・・・。
おいらも、自転車をやるまでは、
ネオジム磁石も、自己融着テープも、表面保護テープも
知りませんでした。
この3つは、いまや、どこにでも使っているありさまです(笑)
今年は、あと、何を発見できるかな~(^^)