朝焼けを撮るカメラを支える,GITZO GT0541三脚。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
世の中には,2種類のカメラマンがいます。
三脚を使うカメラマンと,使わないカメラマンです。
スナップ写真派だと使わないことが多いと思いますが,風景写真派では三脚を使わないことは,即破門(or 切腹)を意味します。
三脚を使わない風景写真は存在しません。というわけで,新しい三脚のお話を(^^)
と言っても,半年以上前に書いた記事で,なんだか意味不明に長い文章ですが・・・。すいません。
風景写真は三脚が必須
真面目な話,プロはもちろん,趣味として風景写真をやっている人の99%は三脚を使っているはずです。
ロードバイクにおけるビンディング装着率に近いものがあるかもしれません。
三脚は,記念写真や夜景のためだけにあるのではなく,こんな効果があります。
- ブレ防止
- なんだかんだ言って,やっぱり「ブレ防止」が一番です。基本的に静止している風景を撮るわけですから,わずかなブレでも「なんかねぇ・・・」という写真になってしまいます。構図や露出もそうですが,プロとアマの決定的な違いは,写真がブレていないかどうかです。
- 構図確認
- 明るくてシャッター速度が速く,また,手振れ防止機能があけば三脚無しでもブレないこともあります。でも,三脚には,ブレを気にせずどっしりと構えて,綿密に構図を調整していけるという大きなメリットがあります。構図を微妙に調整しながら,何枚も撮ることができますし,同じ構図で露出を変えて撮ることもできます。
- スーパースローシャッター
- 普通の写真は,1/125秒とか1/500秒といった高速シャッターで撮っているため,ごく一瞬を写しとめます。逆に長いシャッターで撮ると,いわゆる「流し撮り」ができるのですが,三脚に固定した上で,数秒~数十秒という超スローシャッターで撮影すると,動いているものが全て消えます。街中でやると,車や人がいない不思議な写真になり,海辺で撮ると波が消えて鏡のような海を見ることができます。
繰り返しですが,風景写真に撮って三脚は必須です。
写真家の萩原俊哉氏は,著書『D800 & D800E プロはこう使う。』の中で,三脚が使えなかった場合の対処法について,こう述べています。
「本当に三脚が使えないかもう一度考え直す」
すごいですよねぇ,三脚が使えない場合の対策が,本当に使えないかもう一度考える,なんですから。
それほどまでに,風景写真家にとっての三脚は,武士にとっての刀のように重要な物であり,万が一にでも家に忘れてきたりした場合には,やっぱり切腹もののようです。
フォトポタ日記での三脚使用
たしか,500円のミニ三脚
au Infobar A01
普段の595号では三脚は持って行きませんが,ロングツーリングなどでは,記念ポイントでの自分撮りのために,超小型三脚を持っていくことはあります。
問題は,本気で風景を撮ることが目的で,海辺や鎌倉界隈にデジタル一眼を背負って出かけるときです。
我が家にある,デジタル一眼を支えることができる三脚は以下の2つなのですが,どちらもロードバイクでの携行はイマイチ向いていないのです。
メーカー | Manfrott 190CX PRO3 |
Velbon ULTRA MAXi 現ULTRA 455 |
---|---|---|
材質 | カーボン | アルミ |
段数 | 3 | 5 |
固定方法 | レバー式 | ウルトラロック式 |
全高 | 160cm | 162cm |
最低高 | 9cm | 21cm |
縮長 | 61cm | 42cm |
耐過重 | 7kg | 2kg |
重量 | 1.6kg | 1.4kg |
Manfrottoはカーボンですが意外と重量があり,また,3段式のために格納時の大きさもかなりあって,自転車で背負うにはかな危険です(メットを小突かれる)。
一方,Velbonは非常に小型ですが,重量の割には耐荷重が小さくて安定感に欠けます。また,5段式のために操作がかなり面倒なのが難点です・・・。
是非とも,小型・軽量・堅牢の3拍子が揃った三脚を用意する必要があるのです,絶対に(^^)
行き着く先は・・・,人生初のGITZO
「小型だけど重い」とか「小型・軽量だけど弱い」という三脚は沢山あります。
特に後者は,「耐加重1kg」などいう柔な三脚もあり,とてもデジタル一眼レフを支えることはできません(Shiro家の標準はNikon D600と24-70F2.8で約2kgです)。
そんな中で,バカみたいに強い耐荷重を誇るのが,フランスのGITZO(ジッツォ)社のカーボン三脚です。
残念ながらお値段もバカみたいに高く,国産三脚の2倍くらいするので,自転車業界で言うところのカンパに近いかもしれません(フランスだし)。
大戦中は機関銃の台座を製造していたというだけあって,どうも三脚の強度基準が他メーカーと根本的に違っていて(勘違いしているのかも,笑),耐荷重が10kgとか20kgという,ありえないような強度を誇っています。
いくらなんでも,20kgもある機材は我が家には無いので,GITZO社の中でも一番ひ弱な三脚を探してみると,「マウンテニアカーボン6X三脚(GT-0541)」という非常にか細い三脚がありました。
が,例によって見かけによらず頑丈で,耐荷重は5kgもあります。
また,持ち運び時に重要な長さは最小で48cmとまあまあコンパクトですし,重量も780gとかなり軽量です。
本当は,海水に没しても大丈夫という「オーシャントラベラー」が欲しかったのですが,12万円という桁違いのお値段のために諦め,楽天ポイントも活用して,ほぼ1/4の常識的なお値段のGT-0514で我慢です。
念願のGITZO三脚登場!
前述のとおり,三脚業界ではカンパニョーロのような存在のGITZO社。
性能もいいのですが,なんか,持っているだけでプロっぽい感覚を味わうことができます(←バカです)。
もちろん,三脚が良くたって写真が良くなる保証はまったく無いのですが,なんか,気分的にプロになったように錯覚できるという,素晴らしいフラシボ効果込みの値段なのでしょう,きっと。
まぁ,モノが三脚なので,これといって珍しい動きはしない地味なツールですが,感動がさめないうちに,写真に収めてみました。
6層カーボンパイプです。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
袋も格好いい(^^)
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
上から,Manfrott,GITZO,Velbonです。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
伸ばすとこんな感じ。Velbonの伸び率が半端ないけど・・・。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
我が家の三脚たちと比べるとこんなスペックになります。
メーカー | GITZO GT0541 | Manfrott 190CX PRO3 |
Velbon ULTRA MAXi 現ULTRA 455 |
---|---|---|---|
材質 | カーボン | カーボン | アルミ |
段数 | 4 | 3 | 5 |
固定方法 | ナット式 | レバー式 | ウルトラロック式 |
全高 | 142cm | 160cm | 162cm |
最低高 | 25cm | 9cm | 21cm |
縮長 | 48cm | 61cm | 42cm |
耐過重 | 5kg | 7kg | 2kg |
重量 | 780g | 1.6kg | 1.4kg |
実際に使ってみると・・・?
GITZO GT0514を使い始めて半年ほどになりますが,やっぱり,「軽いのに強い」というのは素晴らしいことです。
ちと重めの自由雲台(GH1781QR)を使っているので,残念ながら重量は1kgを少し超えてしまいますが,それでも十分に軽量で持ち歩きには不自由しません。
安定性
GT0541はびっくりするくらい足が細いのですが,耐荷重は5kgもあり,十分堅牢に作られています。
おいらのカメラ機材は最大でも2kgしかないので,強度不足で不安定になることは今のところありません。
また,エレベータの下に荷物をぶら下げられるフックが隠れていて,ここに荷物をぶら下げれば安定感が倍増してくれます。
ただ,先日の花火写真のように,中途半端な重さで嵩張るものをぶら下げると,風で煽られて揺れる荷物の影響が無視できません。ここだけは気をつけないと(GITZOとか以前に,三脚全般の使用注意事項ですね・・・)。
可搬性
格納時の長さは48cmと比較的コンパクトで,595号(Mサイズ)のトップチューブにぶら下げることができます。
ギリギリ車載できます。最近では背負ってますが・・・。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
ですが,雲台込みだと60cmくらいになってしまうため,バックパック(DEUTERのCrossBike)に入れざるを得なく,しかもバックからはみ出してしまい,この点は少し残念です。
背負うと,ちょっとバッグからはみ出しちゃう・・・。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
ナット式固定は意外と使いやすい
普通に売っている三脚の多くは,脚の固定にレバー式を採用しています。
おいらも,今までレバー式を愛用してきましたが,GITZOは基本的にナット式です。
レバーをパチンと倒すだけで固定できる「レバー式」に対して,ナットをグルグル回す「ナット式」はいかにも面倒くさそう。
GITZOは真ん中,ナットロック式。
左のVelbonは独自のウルトラロック,右のManfrottoはレバーロック。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
しかし,実際に使ってみると,ナットの出来がとても良く,キチンと締めこんだときの固定力はレバー式より安心感があります。
また,格納時にもゴツゴツしないし,ナット式を見直してしまいました。
プロはみんなナット式だし・・・そこかい!(笑)
雲台はいいんだけど,クイックシューが・・・
GT0541は「脚」だけなので,別途,雲台を用意する必要があり,おいらはGITZOの中では小さい部類の自由雲台(GH1781QR)を使用しています。
自由雲台といえば小型軽量というイメージがあるのですが,GITZOのボール雲台はすんごく巨大です。
しかし,デカいハンドルによる固定力はとても強く,また,固定を緩めてもガタンと傾くことはなく,粘度を持ってムニュ~っと動いてくれるので,とても使いやすい雲台です。
クイックシュー以外,ものすごく使いやすい自由雲台。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
使いにくいのはクイックシュー。
今まで,ベルボンの大型クイックシュー(QRA-35L)を使っていたのですが,それと比べただけでも,こんなに欠点が見つかります。
- シューが小さくて固定力が弱い。簡単に回ってしまいます
- シューの固定ネジを回すにはコインなどの工具が必要
- シューの装着に方向性があって,一方向からしか装着できない
- 装着も面倒だけど,外すのもロック解除が必要で,もっと面倒くさい
- 縦位置撮影時の回転防止爪がない
- 雲台とシューの固定力調整ボルトがすぐユルユルになる
- マウント側が鋭利で,ぶつけると怪我をする
こんな感じで,21世紀のクイックシューとして,およそ思いつく限りの欠点を備えています。
この,馬鹿クイックだけが欠点・・・。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
見た目は格好いいんだけどねぇ・・・。鋭利過ぎて怪我するよ。
Nikon D600 + Nikkor Micro 60mm F2.8
こんなことなら,ノーマルタイプの雲台にベルボンのクイックシューを装着したほうが遥かに使いやすかったと思います。あ~,ここだけは大失敗(>_<)。
三脚の「脚」と「雲台」の部分はいいんですが,クイックシューだけはベルボンの圧勝です。む~残念!
まとめ
「三脚を持ち歩くと重くて不便!」と思う人がほとんどだと思います。
特に家族で電車でのお出かけなど,荷物を持って歩かなければならないときには,なおさらかと。
しかし,意外な使い道ですが,三脚をほんの少しだけ開いて,雲台やフックに手荷物全部をぶら下げしまういう,素晴らしい使い方があります。
ホームでの電車待ち,電車内,夢と混雑の国での行列待ちなど,「荷物を持ったまま時間を待つ」というシーンは沢山あります。
■
このような時,背中のバックパック,手提げ,水筒などを三脚に預けてしまうと,すごく楽になります。
小さなお子さんがいる御家庭なら「ベビーカーのような使い方」と言えば分かっていただけるでしょう。便利ですよねぇ,ベビーカー(^^)
というわけで,風景や静物撮影でワンランク上の写真が撮れるようになるのはもちろん,家族で出かけた際のちょっとした荷物置き場としても大活躍してくれるカメラ三脚。
記念写真以外にも,是非,御検討を~(^^)
おしまい。
夜明け前でも撮るぜ!
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8
波の流し撮り。
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8
暗くても,どんと来い!(^^)
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8
夜景でも,どんと来い!
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8
もうちっと,暗くなるまで待つぜ!
SONY DSC-TX10
山にでも,持って行きます(^^)
Nikon D600 + Nikkor 24-70mm F2.8
ジッツォをカンパに例えているのは言い得て妙だと思いましたが、カンパニョーロはイタリアのメーカーですね。