この写真を見てピーンと来る人は,DT Swissハブユーザーさん(^^)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
5月に緊急購入した,山岳秘密兵器(軽量ホイール)のFastForward F4Rのハブメンテを行いました。
まだ100kmそこそこしか走っていないので,メンテナンス時期には程遠いと思うのですが,おいらのF4Rは購入当初から,フリーのラチェット音がうるさい,いわゆる「爆音ハブ」だったのです。
これは,なんとかせねば。
長いけど,要するにこんなお話です(^^)
- 買ったばかりのFastForward F4Rのハブが爆音化している
- DT Swiss製180ハブは,240sと同じく,手だけで簡単に分解清掃できる
- 分解してみたら,まったくグリスが入っていなかった(>_<)
- テフロングリスを注入して,無音化成功(^^)
爆音ハブとは?
「爆音ハブ」とは読んで字のごとく,下り坂などで空転するときに,馬鹿でかいラチェット音がする状態のハブのことで,巷ではカンパニョーロ(カンパ)のハブに多いと言われています。
フォトハブ研究所では,過去に,以下の2つのハブの爆音を黙らせるメンテナンス作業を行っています(その後も何度も,定期的にやってます)。
どちらも,メンテナンス前は爆音(もしくは猛音)だったのが,ハブを分解してグリスアップしたことで,ほぼ無音のハブに生まれ変わってくれました。
新顔のFFWD F4Rもそうなってくれるといいのですが・・・。
DT Swiss 180ハブのメンテ
FFWD F4RのハブはDT Swiss社の「180」というハブです。
以前にメンテをやった(そして今はお亡くなりになった)Reynolds MV32Tは,同じDT Swiss社の「240s」というハブを使用していました。
この「240s」というハブは,こちらでもでも紹介されているように,とても簡単に分解清掃することができます。
フォトポタ日記でも紹介しましたが,スプロケをつけたまま,両手でグイっと引っ張ればフリーが外れる(驚)ので,ちょいちょいっとグリスを塗って,戻すだけでメンテ完了です。
この点,分解手順が面倒な上に,組み立て後には玉アタリ調整までしなければならない,カンパハブとは大違いです。
で,話はおいらのFFWD F4Rに戻ります。
こいつは,購入時に少し奮発したため,「240s」の上位機種でセラミックベアリングの「180」というハブを使用しています。
おいらのF4Rは,DT Swissの180ハブなのである。ホワイトなのである。不釣合いに高級なのである。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
メンテに先立ち「180」の分解メンテについてあちこち調べてみたのですが,どこにも見つかりませんでした・・・。
失意のどん底(いつもこのパターン?)で,モノは試し,240sのときと同じようにスプロケごとグイグイと引っ張ってみると・・・。
軍手をはめて,グイグイとスプロケを引っ張ると・・・。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
フリーボディーがスプロケごと外れました。
この写真を撮るためだけに,三脚を据えて自分撮りしているのがアホですが・・・。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
取れました(笑)
そう,「240s」と「180」はベアリングの差だけのようで,内部構造は全く同じみたいです。
さっそく,スターラチェット部分を確認してみたのですが・・・。
スターラチェット。もちろん,油脂分はほぼゼロ・・・。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
フリーのスプロケ側。グリス入れ忘れている?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
同じく,ホイール側。うっすらとグリスのような物質が見える?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
ひどすぎません?(笑)
たった100kmしか走っていないのに,ほとんどグリスが見当たりません。
というか,「もしかして塗り忘れたのでは?」というくらい,クリーンな状態です。
これじゃ,空転時に爆音が出るのは当たり前ですし,放っておくとラチェットが磨耗してしまいそうです。
ここまで油脂分が無いと清掃はとても簡単で(笑),JKワイパーでちょいちょいっと拭いて清掃完了。
清掃完了! って,清掃前とほとんど変わらないけど・・・(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
あとは,いつものグリス,FINISHLINEの『プレミアムテフロン』をたっぷりと塗りこんで,フリーをはめ込んで蓋をします。
ハブにはこのグリスを使っています。別にグリスガンじゃなくていいのだけど,手が汚れるとカメラが汚れるので・・・(^^)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
ちと盛りすぎたか? でもこのくらいでも大丈夫。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
本当なら作業前後で爆音→静音と変化する様子を紹介するべきなのですが,以前にもMV32Tでやっているので,改めて比較動画は作りませんでした m(_ _)m
結果は当たり前ですが,MV32Tのときと同じく,爆音は消え去り,完全に静かなハブに生まれ変わってくれました。
おわり
ちょっとくらい音がうるさいハブなら,「我慢する」「先行車に気づいてもらえて便利」という利用方法もあるかもしれません。
しかし,爆音は基本的にはグリス不足から発せられるものであり,ここまで完全にグリスが枯渇していると,パーツの磨耗が気になってしまいます。
普通の走り(?)をする人ならいいのですが,山バカのおいらだと,苦手なダウンヒルは完全に脚を止めて空転させっぱなしです。
完成状態。スバルラインを下ると,12000回転も空に回っています。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
タイヤ1回転で約2mですから,スバルラインの24kmダウンヒルでは12000回も空転していて,この間,ずっとグリス無しのスターラチェット2枚が擦れあっていることになります。
ヤビツでも同様に1アタックで6000回の空転。
やっぱり,ハブの音が大きくなってきたら,パカッとハブを開けてグリスを塗りこんでいきましょう。
おわり。
(おまけ)
DT Swissのハブ「180」を調べてみたのですが,その単体お値段を見てビックリ!
なんと,1個80000円です(!)
なんですか,この,マグロの初競りのような値付けは・・・。
このハブを使っている,おいらのFFWD F4Rは約70000円で大英帝国から送料無料でプレゼントされたものです。
リムとスポークの材料費はどこに消えたんだ!?(っていうか10000円もオーバーしているし)
セラミックベアリングなのでグリスが入っていなくて当然だと思うのですが…