このカタチに行きつくのに,2か月近くかかりました・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
先日紹介した,guee社の小型なハイパワーライト『SOL200』の後編です。
小型,大光量,充電式,安価,とイイコト尽くめのSOL200ですが,唯一つ,致命的な欠点があります。
それは・・・,
気に入った点
- 超軽量・コンパクト
- Shiro家最強の明るさ(200ルーメン)
- USB充電式の電源
- 高速点滅と低速点滅が選べる
- かなりお安い(2000円ちょい)
ダメだこりゃな点
- 絶望的に使いにくいマウント
それは「マウント部」でした
SOL200が抱える致命的な欠点,それは,ライト本体ではなく,自転車に搭載するためのマウント部です。
過去100年にわたって人類がつむぎだしてきた,あらゆるライトマウントの中でも,かなり下の方にランクする,欠点だらけのマウント部なんです。
どこから話したらいいのか難しいのですが,まずは,カタログどおりに動いた場合の特徴から。
SOL200のマウントは,カメラ三脚の自由雲台のような構造をしていて,水平方向には360度回転でき,さらに,前後左右に20度まで傾けられる,とても自由度が高いマウントです。
なので,普通はやらないであろう,こんな取り付け方法も可能です。
首が自由に動くので,こんな場所(ステアリングコラム)にもつけられます。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
マウントの自転車への取り付けは,雲台部分を包む形状のゴムバンドをひと巻きして固定するだけですから,道具も要らないし,とても簡単に取り付けられます。
もちろん,マウントとライト本体は,レバー1つで簡単に着脱できます。
こんな風に自由雲台を,ゴムバンドで包んだ構造になっています。
こうやって取り付けます。
具体的にどうダメなのか・・・?
上では,SOL200マウントの利点を太字で書いたのですが,それはカタログ上の話であり,これらの特徴は全部うまく機能せず,そのまま,SOL200マウントの欠点になっています。
順番に見ていきましょう。
自由すぎる動き
自由雲台方式は前後左右に自由に角度を調整できて便利なのですが,SOL200の場合,走行中も自由自在に角度を変えてくれます。
カメラをやっている人なら分かるかもしれませんが,自由雲台の固定力はボールの大きさにほぼ比例します(もちろん,素材や加工精度にもよりますが)。
SOL200マウントの場合,ボールは直径1cmにも満たないサイズですから,普通の力で締め付けただけでは,走り出した途端にライトはお辞儀をしたり,ふんずり返ったりしてしまいます。
guee社のHPから。確かに,この図の通り,走行中も自由自在に首を振ります・・・。
指先が赤くなるくらい,ガッチガチに締め込むとなんとか安定してくれるのですが,今度は別の問題が出てきます。
そもそも土台がユルユル
SOL200マウントを自転車に固定するには,雲台部分を包んでいるゴムバンドをハンドルバーなどに1周することで固定します。
しかし,しっかり固定しようとゴムを引っ張ると,このゴムが実に柔らかくてビヨンビヨン伸びてしまい,雲台部分を包んでいる部分に隙間ができてしまい,かえって安定しなくなります。さらに強くゴムを引っ張ると,雲台部分とゴムバンドが分離してしまうという矛盾ブリです。
分解すると,こういう構造になっているのですが・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
しょうがないので,ほどほどの力でゴムバンドを固定せざるをえず,土台からユルユルな状態で走り出すことになります。
そもそも,雲台部分の基部も非常に小さい上に,プラスチックむき出しで,このままハンドルバーに乗っかるわけですから,所定の摩擦力を得ようとするのに無理があります。
台座の裏側はプラスチックで,摩擦力は全然ありません。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
土台も緩いし,その上の自由雲台も緩く,全体として超ユルユル,走り出すといろんな方向に眩しさを振りまくハイパワーライトです(困)
ライトとの固定はウルトラ頑丈
前述のとおり,マウント⇔自転車の接続はダブルユルユル状態なのですが,マウント⇔ライトの接続部はありえないほど頑丈です。
一度,「パチン」とマウントにライトを装着したら,並大抵のことでは外せません。
機構自体は,マウント部に小さなノッチがあり,そこにライト本体の溝がパチンとはまる,普通の仕組みです。
着脱用レバーを倒すことで,ノッチが溝から抜けてライトが外せるのですが,このレバーがフニャフニャなんです・・・。
どんなにレバーをバカヂカラで倒しても,ノッチが動くことは無く,ライトを外すことはできません。
どうしても外したい時は,細いマイナスドライバーをノッチ部分に突っ込んでやるしか・・・。
それでも,イジでも使おう!
以上のように,人類史上最悪(オーバー?)とも言えるSOL200マウント。
固くあるべきところは柔らかく,柔らかくあるべきところは固い。
「設計者出て来い~!」と言いたいところですが,おそらくMade in Chinaなので出てこられても言葉が通じません。
ライト本体は素晴らしい性能なので,なんとかして使ってみることにしました。
【改善策1】格安ライトマウント購入→同様に失敗
別の用事(SDカード購入)で,楽天の「上海問屋」を見ていたら,異様に安い自転車ライトマウントを発見!
なんと,1個92円なんです。
これなら,失敗しても痛くないので,とりあえずこれで試してみることにしました。
期待の新星,92円マウント!(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
しかし,安物はやっぱりそれなりの品質でした・・・。
- ハンドルバー側のゴムが柔らかすぎる上に,最後に引っ掛けるフックがすごく小さく,強く固定できない
- ライト側のゴムも柔らかすぎるため,ライトを固定しきれない
なんだか,SOL200マウントと似たような設計思想(?)ですが,とりあえず使ってみることにしました。
なんだか,ゴムがユルユルだけど,とりあえずは装着できそう・・・。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
で,実際に走ってみると,平地を走行しているうちは問題無いのですが,スピードが出るダウンヒルや,路面の段差であっさりと角度がズレてしまい,ウルトラハイパワーで対向車を照らしてしまったりでした・・・。
やっぱり,92円のマウントでは無理がありました(しかも,今日見たら199円に値上げしている・・・)
【改善策2】最後の頼みはTOPEAKさま
今度は,もとのSOL200のマウントを使います。
SOL200マウントの3つの部分(ライト接続部,自由雲台部,ハンドル接続部)には漏れなく欠点があるのですが,それぞれ,以下のようにして叩きなおします。
問題の部位 | 問題の内容 | 対策案 |
---|---|---|
ライト接続部 | レバーが柔らかすぎてライトが外せない | 外すことはあきらめる |
自由雲台部 | ボールが小さすぎて保持力が弱い | 死ぬほどキツく締めこんで固定する |
ハンドル接続部 | ゴムが緩い,接触面積が小さすぎて固定できない | ゴムは捨て,両面テープで仮止めし,TOPEAKの輪ゴムで強力に引っ張って固定する |
ライトの着脱はあきらめる,自由雲台は死ぬほど締めこむ,元のゴムは捨てる,台座の裏には両面テープ。最後の取り付けは,TOPEAKの固い輪ゴム。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
前から見たところ。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
真横から。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
後ろから。ゴムを引っ張るための「つまみ」がちょうどいい感じです。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
決め手は,「ちょうどいいサイズの輪ゴム」ですが,たまたま,手元にあったTOPEAKの輪ゴムと,ネオモルフェのサイズが絶妙で,とても強く固定することができました。
なお,ハンドルバーには念のため,表面保護テープを貼って傷を防止しておいたほうが無難です。
なんだか,「レバー1つで簡単着脱♪」からはどんどん遠くなっていきますが(笑),ハイパワーで対向車を照らしたり,地面を煌々と照らすよりはマシです。
この装着方法によって,基本的には自転車から外せなくなったのですが,まぁ,良く考えればそれでもいいかと。
電池がなくなったら,モバイルバッテリーか,長いUSBケーブルで充電すれば大丈夫ですし,自由雲台部(死ぬほど固く締めてあるけど)を緩めて,外してしまうというのも手です。
自転車に載せたまま,モバイルバッテリーで充電する(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
または,自由雲台部をばらして(固いけど),外して充電。
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
ようやく使えるように・・・
SOL200を購入したのは昨年11月(写真の背景が紅葉でしょう?)
最初は,この取り付け方に感動したのですが・・・。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
それから,色々と試行錯誤し続けて,ようやく安定して使えるようになったのが今年の1月末。
TOPEAKの輪ゴムで直接固定してからは,勝手に角度が変わってしまう災害は発生しておらず,気持ちよく使えています。
一時は使用をあきらめようかと思いましたが,なんとか工夫して使えるようになりました。
というわけで,万人におススメなわけではないのですが,マウント部の問題さえクリアしてしまえば,明るくて軽くてお安い,素晴らしいライトです。
もっといい方法を編み出してた方,いらっしゃったらぜひ教えてください~(^^)
おしまい。
やっと,安定して使えるようになりました(^^)
Nikon D90 + Nikkor Micro 60mm F2.8
【おまけ】
これらの作業をやっていく中で気が付いたのですが,我が家にある,他のライトのマウントはゴムバンド派(Antarex),プラスチックバンド派(Cateye),ネジ締め付け派(Gentos)に分かれるのですが,自転車パーツなんだから,普通のサイコンのようにタイラップで固定するマウントはできないんでしょうかね?
自転車ライトはそんなに重くない(特にSOL200なんて45gだし)ですから,幅2~3mmのタイラップ2本で十分に固定できると思うんです。
実際,Edge705なんて,そういうマウントでしたし,ものすごく強力でした。
ユルユルなゴムバンド,ユルユルな自由雲台,ガッチガチなライト接続部。
そんなヘンテコな物体を作らないで,ふつ~に,タイラップで固定させてくれないかなぁ・・・。
夜の江の島にて。真っ暗でも,SOL200があれば走れます。
SONY DSC-RX100m2 + Carl Zeiss Vario Sonnar T* 10-37mm F1.8-4.9
>Noguさん
ねぇ,マウントさえ良ければいいライトなんですけどねぇ・・・。
なんせ,200lmのバカみたいな明るさを体験すると,100lmでも暗く感じてしまいます。
まぁ,そんなにバカみたいな明るさが必要なのか?という問題もありあますが・・・(^^;
MOON MASKというライトは初めて知りました(全然,自転車雑誌を読まないので疎くて・・・)
平たいデザイン,格好いいですねぇ。
SOL200を使ってみて分かったのですが,サイズが小さくても,丸いと結構かさばり,平たいほうがいいと思います。
guee社も平たいタイプや300ルーメンタイプも出たようなので,毒を食らわば皿まで,また試してみようかな!?(笑)