今回の主役。長男号ママチャリの内装3段変速機です。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
長男から,自転車(あさひのママチャリ)の調子が悪いから見てほしいとのお願いがありました。
内装3段変速なのですが,変速レバーが固くて全く動かないとのこと。
変速関係のトラブルや調整なら,LGS SIX号,LGS RHC号,LOOK595号他,各種ママチャリでもさんざんやってきたメンテナンスなので,お手の物。
最悪,シフトワイヤー張替えなんていう状況でも,30分もあれば作業は完了する。
・・・はずだったのですが,改めて(スポーツバイクでない)一般車のコンポの構造に驚かされることになりました。
想像を絶する構造をしているんです・・・(オーバー?)
3段内装変速(NEXUS)オドロキの構造
長男のあさひ号は,シマノNEXUSの内装3段変速。
訴えどおり,シフターを操作してもワイヤが固渋しているのか,「2」速のまま全く動きません。
全力で握りまわしても,「3」速に入ってくれません。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
以下,だんだんと一般車の変速機の謎多き世界にハマっていく日曜夕方の様子を時系列で追いかけましょう。
【15時18分】変速機側の様子を確認する
まずは変速機側の様子を見ることにしました。
幸い,変速機は簡単なカバーを外せば中身を見ることができます。
内装変速機は,車軸と同軸に配置された変速用のロッドを押し込むと変速されるという,(外見上は)非常にシンプルなつくりをしています。
車軸のところに,チョコンと出っ張ってるのが変速機のロッド。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
指でロッドを押すとちゃんと動きます。変速機本体は正常のようです。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
このロッドを,シフターから配線されたワイヤを使って,テコで押したり離したりするだけです。
ところが,どこがどうなっているのか,シフトワイヤはペンチやプライヤーで引っ張っても,まったく動きません・・・。
【15時25分】シフトワイヤーを外してみようとする
しょうがないので,シフトワイヤーを張り替えてみることにしました。
ちょうど手元には,シマノ純正のSP41シフトワイヤーが10mほど余っているので,この機会に少しでも消費しておきましょう。
ところが,変速機側のワイヤを見てみると,驚いたことに,ワイヤの先端には小さな「タイコ」が付いています。
ちょっと分かりにくいですが,左端に見える小さな丸っこい物体が「タイコ」。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
一般のスポーツバイクなら,シフトレバー側にタイコがあり,ディレイラ側はワイヤーをボルトで挟んで固定しています。
そう,普通はこういう風に固定されているはずなんですが・・・。
Nikon D90 + TAMRON 17-50mm F2.8
ところが,あさひ号を見ると,変速機側にもタイコがあって外せないようになっているんです。
一体どうなってんだ・・・?
【15時32分】シフター側の様子を見てみる
シフトワイヤーを外したくても変速機側にタイコがあるんじゃ仕方が無い,シフター側から外せるかどうか見てみましょう。
この時点では,「変速機側にタイコがあるってことは,スポーツバイクと逆だけど,シフター側がボルト固定なのかなぁ?」と緩く考えていました。
しかし,シフターのカバーを外して目が点になりました。
なんじゃ~,この見たことのない構造は!? 途中で連結しているようですが・・・。
SONY NEX-5N + Carl Zeiss Vario Tessar T* E 16-70mm F4 ZA
なんと,シフター側にもタイコ,しかも,見たことが無いヘンテコなタイコが付いているのです!!
が,落ち着いてみてみると,シフターの前後方向の巻き取り動作を,ワイヤーの左右方向の動きに変えるために,2つのワイヤを組み合わせていることが分かりました。
また,2つのワイヤは途中でタイコを経由して接合されていて,シフターを緩めることで,いよいよ本丸のシフトワイヤーを外すことに成功しました。
シフターから出た短いケーブルに,変速機まで続く長いケーブルのタイコが入ります。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
【16時08分】とりあえずシフトワイヤを外すことに成功
シフター側は外せたので,つづいて変速機側も外してみることにしました。
しかし,ワイヤはどこかでガッチリと固まって,変速機側ではピーンと張って遊びが一切無く,どうやっても変速機から外すことができません。
そこで,変速機についているアジャスタをペンチで強引に回し,ギンギンにワイヤテンションを上げていきます。
これ以上回せないくらいテンションを上げきった後,今度は一気にアジャスタを閉めこむことで,ワイヤにたるみを作ることに成功し,なんとか無事にシフトワイヤを変速機から外すことに成功しました。
ようやく,変速機側もワイヤを外すことができました。ふぅ~
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
ふぅ・・・。
【16時23分】ママチャリシフトワイヤの販売スタイルを知る
自転車から外したシフトワイヤは,長年(?),スポーツバイクに親しんできた者から見ると,まるで地球外から飛んできたのではないかというくらい,不思議な物体でした。
両端にタイコが付いたインナーワイヤが,アウターに入っています。どうやって作ったんだ!?
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
どうでしょう?
アウターに入った状態のインナー両端にタイコが付いているんです。
すごいですよね。
「どうやってインナー交換するの?」「ひょっとしてタイコが外せるとか?」「っていうか,交換できるの?」という疑問がフツフツと沸いてきます。
どうやっても理解できないブツだったので,「一体,どういう状態で売っているのか?」を通販サイトで調べてみて,愕然としました。
なんと,内装3段変速のシフトワイヤは,この状態(アウターに入った状態のインナー両側にタイコが付いている)で売られているのでした。
「それじゃぁ,フレームサイズに対応できないじゃん」と思ったのですが,これまた新たなオドロキで,あらかじめ何種類かの寸法のワイヤセットが用意されているのです。
そう,内装3段変速のシフトワイヤは,買ってから長さを合わせるのではなく,自分の自転車にあった長さのワイヤを購入するのでした。
もう,久しぶりのメカラウロコでした。
ママチャリ修理の奥深き森へ・・・
こんな調子で,修理するどころか,ママチャリシステムの構造に驚かされただけで,初日は終わってしまいました。
とりあえず,同じ寸法のシフトワイヤセット(アウター+インナー+タイコ)を買わなければならないので,外したシフトワイヤをメジャーで測ってみました。
アウターは152cmくらいです。
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
測定の結果は以下の通り。
ワイヤ | 計測箇所 | 長さ |
---|---|---|
インナーワイヤ | タイコの外側~外側 | 157.5cm |
アウターワイヤ | ワイヤの切断面~切断面 | 152cm |
ワールドサイクルの「シマノスモールパーツコーナー」で調べると,該当するのは「アウター1520mm,インナー1578.5mmのセット」だと思われます。
アウターはケーブル両端で測れますが,インナーは計測場所(タイコの外側,内側,中心など)で変わるので誤差でしょう。
とりあえず,このシフトケーブルと,先日紹介のgueeのライト他を合わせて発注。
今週末には無事に届いて修理できるといいのですが,ママチャリ修理は一筋縄でいかないのはいつものことなので,また新たな壁が現れないことを祈るばかり。
それまで,長男よ,1速で耐えてくれ(笑)
つづく・・・。
シフトワイヤがなくなった長男号。しばらく「1」速で走り続けてくれ。高ケイデンス練習だ(笑)
Nikon D90 + Nikkor 35mm F2D
(おまけ)
今回は修理だからいいですが,新しく自転車を組み上げるときはどうするんでしょうね?
最初に作るときは,適切なシフトワイヤの長さなんて分からないはずなんですが・・・。
入門者がISP(インテグレーテッドシートポスト)を購入してしまったときのような悲劇になるのでしょうか!?
う~む,謎多きママチャリワールド。
インター3でも、ベルクランク6仕様ならばスポーツと同じような片側タイコになってますね。アウターも自在に交換できます。
現在のものには使えないので内部ユニット交換が必要ですね。
同じインター3でも軸形状が違うものが幾つかあり、奥が深いです。用途別にしたらこうなった、というところでしょうか。